先日、中央道で名古屋まで行く用事があったもので、帰りにどこか写真を撮りに寄れないかと検討してみたところ、日本で一番長い宿場町が現存するというので写真を撮りにお邪魔してきました。木曽路・奈良井宿です。
私が到着したのは宿場の南端にあるSLの展示された駐車場でありました。平日は無人で、箱の中に510円入れておいてねというスタイル。無人野菜売りのノリでした。無人野菜売り所は我が西東京市内にもたくさんあり、日本人の善性を証明する素晴らしいシステムと思います。
今回、奈良井宿へ立ち寄ったのは、このジャーナルブログの旅ブログ度を増すにあたって、写真の方向性を考える実験としての側面が強く、一体どういう感じでどれくらいの画質があって、どんなテンションで撮ればええんかしら、というのを確かめるために臨ませてもらったのですが、実際に行ってみると「きれいなところだなあ……」と感心して無心で撮りまくってしまうという、いつも通りのパターンでありました。自分でディレクションするのって難しいですね。
だって宿場町のメインストリートに入っていきなりこの景色ですよ。


先月も長野に来ておりまして、自宅のある西東京からだとだいたい3時間強といったところ。
空気がもう全然違うんですよね。
今回は画角のほうのテストの側面が強かったので、自由度の高いPanasonic DC-G99だけで撮ってみており、そのぶん空気に対する感度は鈍い感じがしますが、日本国内でもあちこち行く度に空気が違うのが面白いなと思います。

映画の中にいるみたい
カメラのファインダーを覗きながら、時節柄あまり人のいない奈良井宿を南から北へ歩いていると、まるで自分が映画の中にいるかのような気持ちになってきます。
映画のセットの中にいるような、という感じではなく、映画の中にいるような。
町の皆さんの努力でものすごくクリーンな町並みなのですが、本物の建物が並んでいるのでセットっぽい嘘くささがないんですね。



また逆に、蕎麦屋さんをはじめ営業しているお店が並んでいるのに、悪い意味で現代らしさを感じさせないよう念入りに町並みを整えてあるバランス感覚が素晴らしいと感じました。
こういうのって、「さあさあ古いですよ古いですよ!」とやられると興ざめしてしまうし、リノベーションリノベーションとおしゃれに改築されても写真に撮れないしでなかなかピタッと来る嬉しい町並みがないのですが、奈良井宿は最高です。




また町角には井戸というか源泉かけ流し状態で湧き水が。
公式サイトを拝見すると、街区の区切りとしても活用されているようですね。
いつでも水にアクセスできるというのは国や地域によっては羨ましいだろうなあ。かわりにこの辺り、冬は寒いのだと思いますが。
町のディテール
よその町へ行くと、そのへんの鉢や街路樹に、その町の人たちの感覚が現れているような感じがして、よく撮っています。
1kmに渡ってつづく宿場町の様子を撮りながらだと、飽きることがありません。むしろ足がすぐに止まってしまって進むに進めません。ちらほらいる観光客の皆さんは、たまにスマホで撮りながら、結構スタスタと進んで行ってしまうので、なんとなく置き去りにされたような気持ちになったりします。



南端
奈良井駅で折り返し、もと来た道を辿って今度は南端まで行ってみます。
本当は鳥居峠というところまで遊歩道を行くと、古いトンネルと、その手前から奈良井宿の町並みを見下ろすことができるらしいのですが、宿場の南端にある神社あたりから2.3kmという表示を見て「ま、まあこんなもんにしとこうか……」となったのでここで退散しました。


美しい宿場町
そんな感じで、おそらく滞在は2時間ほどだったと思うのですが、非常に丹念に整えられ、保存された町並みを撮り放題撮らせてもらえて実に幸せなひとときでありました。
こういうところにお邪魔して、建築に興味があったり食い物に興味があったりするとより厚みのある記事になるのかもしれず、それはそれで大事なんだろうなと思うのですが、ひたすら町の形とテクスチャーにばかり目が行く旅記事、旅写真のあり方もアリなのかしら……と思います。それならそれで、もっともっとディテールと追求するべきでしょうね。

というわけで美しい宿場町、奈良井宿に皆さんも是非お出かけください。