Nikon Z8にNIKKOR Z 50mm F/1.8 Sが実によく合う


 内容はタイトルで語り尽くしたようなものである。

 Nikon Z8、2回目のリコールがあり、今朝がた修理のためにニコンへ送ってしまったので手元にないのだが、発売直後に購入して以来たいへん気に入って愛用している。

 話題のAFは他社とくにソニーやキヤノン並みになったかといえばそうでもない。元が主要各社と比べてよろしくなかったの相対的に劇的進化だ! と言われているが、正直なところあやふやな動作をすることが多く頼りない。端的に表すなら、瞳マークが出ていればピントは高確率で合うのだが、肝心の瞳マークが不思議なところで出ないのである。明らかに両目が見えているのに手前側の瞳を認識しない場合も多々ある。

 だから打率を上げたい撮影では任意の測距点を瞳に当てる撮り方をする必要があるが、そうすれば非常に高確率でピントが合う。それだけでもZ6/Z7ユーザーからすると驚嘆ものである。Z5ユーザーならもっと驚くだろう。
 暗いところにもだいぶ強くなった。まだ高周波のものを撮ると奥に抜けたり、遠景撮影時、狙っていない時ほど手前に一本だけかかった電線にピントが合ったりと謎動作をするのだが、それでも明らかに過去のモデルよりは良い。

 明らかな不満といえばスチル撮影時に相変わらずゼブラを出せないことくらいだ。
 このスチル時ゼブラ表示不可については、ニコンで仕様を決定している人々が「ゼブラはムービーのもの」と定義づけている現れであり、もう一歩踏み込むのであればスチルは中間調を決定するものだという意識が現れているように思う。

 デジタルはハイライトがデータの安全性を考えればキーになるのは間違いなく、であればゼブラで安全に露出を、とくにハイライトを基準で決定できれば良いじゃないの、と思うのだが、ニコンは頑なにムービー撮影の際にしかゼブラ表示をさせないのである。ここが改善されれば、元より操作性は素晴らしく、レンズもラインナップから写りから操作まですべて好みだから文句の付けようがない。リコールがあったことなど些末な問題と思える。

 というわけでNikon Z8にNIKKOR Z 50mm F1.8 Sを付けて撮っていると、ニコンがやりたかったのはこういうことだったのか、こういう画質であり操作性だったのか、と感じるので、画質の面だけでも是非皆さんに感じて頂きたい。

 Z8とNIKKOR Z 50mm F1.8 Sは、互いの美点が上手く掛け合わさっているように感じる。

 レンズの持つ線の細い繊細な描写をボディーがそのまま受け止めており、高解像度であることも手伝って神秘すら感じる画質になっている。その点についてはSNSサイズに縮小するとその良さは伝わらず、ほとんど撮影者しか味わえない部分なのがもったいない。

 ただこの組み合わせの美点は色の良さにもある。Z6、Z7と比べるとさしたる苦労もなく、ホワイトバランス調整程度で実に良い色に仕上がる。

 多少演出の部分はあるが、現実にあったものをそのまま写し取る力はこれまでに使ったどのカメラ、レンズより高いと感じるし、このボディーとレンズの組み合わせはハッセルにPlanarの80mmをくっつけた時のように分かちがたく感じる。

 まるでLeica Qシリーズのように、「この組み合わせでなければ」という気持ちになってくるセットだが、なんとZ8はレンズが交換が可能なのである。実にお得だ。

 是非ともこの組み合わせであちこち撮り倒したい。


コメントを残す