Nikon Z6ユーザーがZ6IIを使ってみた


 こんにちは。

 先日、ニコンさんからフルサイズセンサー搭載のミラーレス一眼、Z6IIを試してみない? と声をかけていただきまして、初代のZ6ユーザーとしましては一体どのへんがどう違うのか興味があったものでふたつ返事で引き受けることにいたしました。

 普段はYouTubeでレビューしてもらうかわりに商品をあげるんで、という色んなメーカーさんからのお誘いを断腸の思いで断り続けているのですが、今回はYouTube外であること、また金銭の授受なしにカメラを貸していただくのみなのでOK! という形です。

 前回のブログにも書いたと思うのですが、YouTubeをやっている私とこのジャーナルブログを書いている私、不可分なのでYouTubeでレビューしちゃうのもアリだなあと思うんですよ。どうせ自分から見てアレなところはアレと遠慮なく指摘しますしね。

 大事なのは利益相反があるかどうかを明示することと思いますので、何はともあれフェアプレー精神で行けばええかなと思っています。

お借りしたZ6II

結論から先に:II型が欲しくなった

 はい。結論から述べてしまいましょう。Z6のI型を使っている私、II型を試用してみたところ、II型が欲しくなりました! I型とII型の単純比較でいえば圧倒的にII型が良いですわ。

 後述の、AF周りでもうちょっと頑張って欲しかったなという点もあるのですが、今どちらかを買おうと検討している人についてはII型をどうぞ、とおすすめします。

変わったところ

 I型からII型で変わったところを列挙いたしましょう。これは他のサイトでいくらでも変更点が見つかりますし、それこそニコンさんのオフィシャル情報がたくさんありますからそちらを参考にしていただくとして、私から見て特筆すべきところを挙げて行きたいと思います。

  • AF信頼度アップ
    • 詳細は後述。もうちょっと頑張って欲しかったんだけど信頼性は間違いなくアップ。
  • グリップがより深く。
    • 引っかかりが良くなり、中指の爪が当たらなくなった。
  • デュアルスロットっていうかSD使用可。
    • 2450万画素で連射する使い方をしないならSDで十分なんですわ。
  • 祝! 縦グリ対応!
    • 縦グリがないと辛い時が結構あるんですよ……。
  • EVF内の水準器。
    • 細くなって見やすくなった!
    • 個人的にはFマウントデジタル一眼と同じにして欲しかったけどZ6よりは数段見やすいのでアリ
  • ボタンアサインの自由度が増した
    • サイレントシャッターを一発でオンにできたりします。
    • 仕事で使っているときはあんがい重宝する機能です。
  • 実は軍艦部のデザインがよりシュッとした
    • これがかっこよくなっていてI型より好み

 といった塩梅でして、見た目は間違い探しかというほどよく似ていますが、細かいところをかなりブラッシュアップしてきた印象です。新規で金型を起こされたそうで、ニコンは本当に「持てば分かる、持たないと分からない」を地で行っているなあ……。

 もともとZ6はI型からして、本当に初代? というほどよくできたカメラで、細かいところに不満はあれどカメラとしての完成度が非常に高く、他メーカーのカメラのように細かいところでイライラが募ることがありません。撮影していてストレスが少なく、信頼度が高いんです。

 ソニーやキヤノン、フジを使った後でニコンに到達した私としては、「こ、こんなに良いの!? はよ教えてよ!」ってなるほど良いです。楽。使い勝手が良くて信頼性が高く、まあ弱点もちょいちょいあるんだけど、使うこちらのことを第一に考えてあらゆる点を作り込んでくれているので全然許せちゃいますね。

手前がZ6II、奥がZ6。軍艦部の角張り方が微妙に違います

変わらなかったところ

  • 色やトーンはI型から変化ないっぽい
    • LightroomにRAWを取り込むとプロファイルが少し違ったりレンズプロファイルが「内蔵」表示でないものがある。
    • しかしRAWでの色味やなんかについてはほぼ差がないように見受けられる
  • 撮影直後の測距点移動がワンテンポ遅い
    • シャッターを切った後、ワンテンポ置かないと測距点がジョイスティックで動かせない。これはI型から継続で、デュアルEXPEEDも関係ないみたい。
    • 人物撮りの際は速攻で動かしたい、なぜなら瞳AFが動作しない場合が多いので(後述)
  • 測光の追従スピード
    • 輝度が大きく変わる時、測光の変化が遅いのも変わらず。
    • 慣れの問題ではあるし、フジのように絞り羽で段階的に明るさが変わるわけでもないのでOKっちゃOK
  • EVFで露出の決定がしづらい
    • EVFでピントの山も露出も分かりにくいまま
    • EVFの性能が良すぎる可能性あり。見た目きれいではある

 といった感じで、こちらはI型に対して細かく不満点があったのがそのまま継続という形。

パッと見はそう違わないので、エンブレムで確認が一番確実、というレベルでそっくり。

 ただまあ完璧に自分の意向を反映して不満がゼロのカメラなんていうものはありえませんし、もともとカメラとしての完成度は非常に高いので不満といっても致命的なものではありません。

Zレンズが使える

 またNikon ZシリーズはZマウントのレンズが使えることが大きな利点でありまして、私が試せているのはまだ3本程度だと思うのですが、風景写真的な意味での収差の少なさという点でも、人物を撮ったりした際の描写のよどみのなさ、お肌表現のすっきり具合という点でも素晴らしく、ZレンズのためのZボディという意味でもZ6はI型、II型とも大変優れています。

 最初は画質があまりにスルスルすぎるのでちょっと戸惑った部分もあるのですが、他のメーカーのカメラでもそうであったように1万ショットも切ってRAW現像していればだいぶ掴めてきますし、底が見えるどころかむしろ新たな可能性に気付かされて「どこまで行けるんだこれは」とより興味がかきたてられるほど。

 使い古された表現をするのであればスルメのような、というんでしょうか。ここまで深みを感じるシステムは初めてです。

 Z6を使い始めた当初はスルスルの素直すぎる画質に戸惑い、一定期間使い込んでみると「これは肉眼で見たのに限りなく近い描写になってる!?」と気付き、そこからはZシステムの絵の基準点が分かったので、だいぶやりやすくなってきました。普通は底が見えちゃうんですけどね。底というか限界というか。

 キリッキリに写るのはZ7のみならずZ6も大変なレベルで、かつジャリジャリに解像してるぜオラオラと下品に強調するのではなく、「解像してますけど?」という控えめな感じなんですが、ここまでの描写ってこれまで得られなかったですからね。Zシステムの功績です。Fマウントの恨みを晴らしているんだろうなあという感じが伝わってきます。

 色は素直! RAW撮りの場合、初期状態だとちょっと冷たい印象になることがよくありますが、そこは上手いことやってしまえばOK。どうとでも出来る懐が深いRAWということでもあります。

 もちろんどれだけRAW現像時にパラメーターをいじくっても素の雰囲気が完全になくなることはありませんで、Z6系のRAWは私の印象では「Z7系よりもちょっと人工的で派手目」という感じ。かちっと系が好きな方には受け入れられやすい筈。

AF

 ただ、Z6IIを試用する際に一番気になっていたAFについては、明らかに良くなっている点と、そう変わってないなと思う点、両方ありました。

 II型になり、AFの動作がとくに動きものに対して良くなったという話だったのですが、たしかに日中、屋外で動く車を撮ったりしてみると、食いつきが全然良くなっています。

 これはモータースポーツや鳥さんなんかを撮る人にとっては嬉しいでしょうね。ロックオンAFもバリバリに追従します。Z6シリーズは連射が利くカメラですから、Z7シリーズと比べるとよりそういった用途に使われやすいでしょうし、そういう意味では良いことと思います。

 ところが、私のメイン用途である人物撮影に使おうと話題の瞳AFを使ってみたところ、追従性がどうこう以前にそもそも瞳および顔を認識しないことが多く、確実性の検証以前に動作しないので検証がほとんどできないという、ちょっと期待はずれの結果でありました。

この一連のショットではなんとか瞳AF発動したものの、左右の目にチラチラチラチラピントが振られてしまいました。

 これは複数のモデルさんで試した結果で、室内のスタジオで撮影しても晴天屋外で撮影しても、瞳AFが発動したり発動しなかったりを不安定に繰り返すので、瞳AFは早々にオフにしてシングルポイントAFに切り替えることになりました。

 Zマウントのレンズで撮ってみても、明るいところでも暗いところでも動作は似たようなものだったので、価格.comのレビューで見かける瞳AF最高! みたいな文言と比べると、どうしたのかしら、という印象。

 上記4カット、瞳AF発動したりしなかったり、発動しても不安定だったりですぐシングルポイントに切り替えて撮影しとります。

 Zの瞳AFがどういう動作条件になっているのかわかりませんが、どうも前髪が眉毛にかかっている時に瞳AFが動作できなくなることが多いようでした。考えてみれば、前髪が眉にかかっている女子ばっかり撮っているかも。うざバング寄りだったらもっと発動しないんでしょうか。

 シングルポイントAFに設定を変えてみると、Z6初代のように盛大にピントが外れることはかなり少なくなっている印象で、打率でいうと2~3割は向上しているように感じました。

 ですから、AFについては「瞳AFは発動条件が厳しいらしい」「瞳AF以外については打率がアップしているらしい」という感じで、ネガポジ両面あった印象です。

II型向きの人

 私自身は人物撮りやスナップにカメラの用途が偏っていることもあり、またMFのレンズもよく使いますからAFの性能が絶対! ということは考えておりません。もちろん良いに越したことはないんですけどね。そういう意味では、AFに限っていえば、注意しながら使えばI型でもOKという感じです。

 逆に、前述のとおり、鉄道やなんかの撮影をされる方の場合はII型の方が向いているでしょうね。I型と比べると明らかに追従性が向上していますし、バッテリーグリップが搭載されたりUSB給電も出来るようになったのも、I型と比べると撮影に有利ですからよりII型が向いているといえると思います。

 リスト化するのであれば、

  • 高解像度が要らない
  • 連射が欲しい
  • 追尾型のAFを多用する
  • 電池の持ちが心配
  • デュアルスロットが欲しい

 このあたりの条件でチェックが多い人はZ6IIが向いていると思います。条件としてZ6/7とI/II型を混ぜちゃいましたけどね。

6と7

 という感じでZ6とZ6IIを比べた場合、私が今どちらも持っていなければZ6IIを買ったと思いますし、これから買う人にも「Z6IIええぞこれ」と強くおすすめできます。瞳AFの件は懸案事項ですが、私の使い方が変わっている可能性もありますからね。

 が、また私個人のお話をすると、実はニコンさんからZ7もお借りしておりまして、色なんかの面でZ7がめちゃくちゃ気に入っちゃいました。その結果、私が欲しくなったのはII型はII型でもZ7II! だってZ6はもう持ってるからね! という感じであります。

 次回のポストでは、Z7で実際に撮った写真を交えながら、Z6とZ7の、とくに画質の違いについてお話できればと思っております。

 そんなわけで、このような機会を与えていただきましたニコン広報部の皆さん、ありがとうございました! ニコンさんの物作りに対する真摯さとユーザーに対する親切心、プロダクトを使えば使うほど伝わってきます。非常に勉強になりました。

 次回へ続きます。


コメントを残す