TTArtisan AF 35mm F1.8 II (Xマウント)

 最近AFにまで手を伸ばして新製品を貪欲に開発しているTTArtisanから、AF 35mm F1.8 IIが届いた。X-M5で撮った作例を掲載しよう。

 きっかけはYouTubeチャンネルに紐づけているメールアドレスへ、Eマウントを使っているようだから我が社のレンズを使ってみないか、と声をかけてもらった。そこでEマウント用レンズのレビューをした後、私がフジのX-M5を入手したのでその旨伝えると、それでは、というのでこのAF35mm F1.8の2型を送ってきてくれた。YouTubeでは先行してレビュー動画を掲載している。

 このレンズに限らず、YouTubeでのレビューは、商品そのものの無償提供を限度とし、それ以外に金銭の授受をせず正直な使用感をレビューしている。ギャラを受け取ってしまったらそれは広告宣伝になってしまい、褒めて売るのが仕事になってしまうからだ。当該YouTubeチャンネルではやっていない。

 ただ、正直レビューを心がけてはいても、身銭を切って購入したわけではないから、無意識のうちに手心を加えていたり、褒めすぎていたりする可能性がないとはいえない。自腹で買って「俺が身銭を切って買ったから良い機材に決まっている」と認知バイアスがかかるのとどちらがマシか、それは読者諸兄一人ひとりにご判断いただきたい。

 このように商品提供を受けたと明記のない当ブログ内の記事は全て自腹である。

外観

 あまり外観を気にしない筆者であるが、このレンズは見た目がかっこいいというか、しっかり配慮されているのでせっかくだから紹介しておきたい。

 写真が素晴らしいのは、見せればそれで用が足りることが多々ある点だ。このような見た目のレンズである。フードが良い。ただ、このレンズに付属しているのは通常のタイプのレンズキャップであり、写真のかっこいいフードを付けるとレンズキャップが使えなくなるのは留意されたい。個人的には使用時にレンズキャップは付けないので、さして気にならない。

描写

 TTArtisan AF 35mm F1.8 II、描写はといえば、開放で少しノスタルジックな写りをするように作られている。解像すれどギチギチと図鑑のように克明なものではなく、ピント面からしてまごつきが感じられるし、手前も奥も整然とした描写ではない。

 等倍鑑賞すると細部がいまいち突き詰められていなかったりするが、全体で見るとあんがい雰囲気が良い。それがこのレンズの特色である。色といえば色乗りはあっさりタイプだ。

 だからこそノスタルジックな感じがするという点で、同レンズは他のマウントでも販売されているが、このフジXマウントで使うのが最も相性が良さそうな気がする。TTArtisanというメーカー自体、Viltroxと比べるとパキパキ整然より、もったりノスタルジックを志向しているらしいのがレンズラインナップ全体から伺える。

 作例の写真はすべてX-M5のRAWで撮り、Lightroomで現像している。
 その際、ボディー内でJPG撮りする際とは違うレンズ補正が当たっているようである。ボディー内では特に周辺光量補正が過剰にかかっているように見受けられ、よろしくない。Lrで自動的にかかるレンズ補正は周辺減光を補正し切らないもののようで、どちらかといえばこちらのほうがレンズの描写にも合っているようだ。切ってしまった方がレンズの特性と合っているかもしれない。

 またAFの精度が出ないようで、AF-CだろうがSだろうが、どのAFエリアを使おうがいまいちピントが来ない。だから運次第で撮るところがあるのだが、これはレンズ側だけの問題ではなく、制御するボディー側もピントが弱いので早めに諦めた。基本的に奥ピン傾向だ。

 とはいえ、純正よりもさらに安価に手に入る、明るく見た目の良いレンズだから、まずは撮り倒したい向きにぴったりと思う。純正の35mm F2よりも、奥側によどみが強い分、3分の1段分しか明るくないにも関わらずボケがより強い感じがするのも特典といえば特典だろう。