こんにちは。
最近ずっとこのジャーナルブログで局地的に話題にしております「旅写真ってどういうのが喜ばれるんだろう」的な問題、センサーサイズ再考に入ってしまっています。
この「フルサイズで行くべきか……いや案外小センサーサイズの方が」みたいな問題、きりがないんですが考えちゃうんですよね。
とりあえず現状、どういう風にカメラの使い分けを考えているかというと、
- Nikon Z7
- プリント作品用
- 風景写真
- 人物
- MFT
- 移動時なんかの気軽スナップ用
という感じでおりまして、まあカメラを1台しか持っていかないのであればZ7で決まりだわな、という感じでいます。
センサーが小さいほど、ギシギシガリガリした表現が得意&RAWの限界が早めに来るので、そう大してRAW現像でいじくり回すことはないな、という感じで、小センサーカメラの方が手数が少なくて済むのは事実なのですが、その反面「オラ~!」っと画質一発で押し出す表現は苦手です。まあそりゃそうです。
自分が何を求めるのか?
これは本当に自分で指針として定めるしかないのですが、皆さんに見せる旅写真の核に何を据えるか、「何を見てもらいたいのか」問題になってくるんですよね。
美しい風景写真を見てもらいたい、というのがメインであればまあフルサイズ機と高性能レンズと三脚とNDフィルターを持っていけば、常にどこでも流しまくって新鮮なルックを見てもらえると思うのですが、風景写真家じゃねえしなあ、という気持ちになっちゃうし、単純に機材が重いとスナップどころじゃないのが辛いなという感じ。
現在考えている動き方は、国内であればまあ車で移動するでしょうから、風景セットとスナップセットという風に2種類ボデー&レンズを持ち運んで、行った先の様子によって持ち替えちゃうのが一番と思います。先日の奈良井宿の写真は、Z7と風景用レンズセットを持ち込んでいたのに、宿場町で風景は撮らんじゃろう、というのでMFT機であるDC-G99のみ使用でありました。
問題は海外に出る時なんですよね。過去写真を振り返ってみると、都市部で撮っているとフルサイズ機が本領を発揮するような風景写真撮りって夜景撮りくらいしかありませんで、他は延々と都市スナップが続くので、MFTで十分、APSCでお釣りが来ますよねくらいの感じ。
むしろボデー側、センサーサイズよりもレンズのセレクトのほうが写真の出来栄えにはよほど影響してくるよなという感じがしちゃうんですよね。特にいま志向しているキャッチーで「わあ旅ステキじゃん行きたいじゃん」という感じの現像方向だと余計にフルサイズいらんじゃん、という感じがしちゃいます。
FF
ボデーはバラバラですが、現在インスタ向けに再現像したりしなかったりしている過去の旅写真からフルサイズ機で撮ったものをいくつか。
さすがに夜と風景に強いなという感じがします。
親切な旅写真をやろうと思うと風景写真寄りのカットを増やした方が喜ばれやすいだろうねーというのもよく分かるので、見た目一発で「良い色!」とか「すっきり気持ち良い!」という演出のためにはフルサイズが便利。
ただ逆に、以降の小センサーサイズ機と比べるとスルスルッとしすぎてつまらないところもあります。
とくに6枚目、神戸の町角スナップは個人的に「高画質すぎて気持ち悪い」パターンです。Sony α7RIIにAマウントのPlanar 1.4/50の組み合わせなんですが、私が街スナップに求める画質に対してパキパキすぎるんでしょうね。
APS-C
それじゃAPS-C機はどうでしょう。
センサーサイズが少し小さくなるので、ガリッとギチっと感が多少強くなり、線が太くなり、色がちょっと人工的になります。
が、それでもMFTやなんかと比べると、まだ色で勝負できる感じがしますし、小さなコマで強さを出すにはAPS-C機もぜんぜんアリなんですよね。
とくに風景写真から離れれば離れるほど、APS-C機の割り切りの良さが活きます。
またボデーもレンズもだいぶ小さくなるのでコストがグッと下がります。
このコストというのは、単にカメラやレンズの値段が違うだけでなく、保険を掛ける際の金額が変わってきたり、飛行機に乗る際、とくにLCCの場合の割増料金あるなしに関わってきたりするので地味にダメージを食らうものです。もちろん高い=でかい=重いが機材の常識なので、高いボデーとレンズを持ち込むと体力的なコストも大きいんであります。
そういう意味では、旅で使うにはすべてがそこそこであるAPS-C機がベストバランスと思うのですが、いかんせん必殺のキラーレンズが現状ニコンから出ておりませんし、パナソニックはAPS-C機をやっていないんですよね。
ちなみにRX100シリーズやニコワンの1型センサーも楽しいのですが、さすがにガリガリ一辺倒の表現になってしまい、求める画質に対してちょっと足りないので最近は出番がほとんどありません。
「このカメラを使う」と先に決めて、そのカメラを使う楽しみを得るのを目的にするのであればカメラは何でも良いのですが、自分で媒体を運営するぞと心に決めて撮ってみると、「これくらいの画質は欲しいっす」と自分の心の中の編集者が囁いてくるんですね。このあたりの話はまた別の機会にしたいところです。
MFT
マイクロフォーサーズ、使い始めた当初はこんなに熱心に使うとは思いもよらなかったのですが、大変気に入っています。
コンデジに準じるくらいボデーが小さいのにレンズが交換できる! というお得感に加え、楽しいレンズてんこ盛り、さらに手ブレ補正が強力だったり、お値段が安いので遠慮なしに使えるなどなど、良いところ盛りだくさんです。
可能ならこれを使いたいんだけど、どうしても画質一発勝負では負けるちゃうので、パナMFTの良い出番を見つけながら使っています、という感じ。実際に旅撮りで使うとこんな感じです。
よう写るんですわ。
そりゃまあフルサイズ機と比べると絶対的な性能が違うので正面からのどつき合いは出来ないのですが、リッターバイク VS 原チャリみたいなもんで、細かい路地裏に入ったら原チャリが勝つ! みたいな戦い方が出来るんですよね。
あとレンズが良いので、そこで結構リカバーできちゃう感じ。
これはレンズの絶対性能どうこうというよりも、使いたくなるレンズがパナライカ中心にたくさんあるのが凄いなと思うんですね。その美点のひとつに「ちっちゃくて可愛い」があるのが見逃せないところ。
機会が持てるかどうか
最終的に、センサーサイズ問題はレンズとともに機材の大きさ重さに関わってくるもんですから、「おっ」と思う瞬間をより多く逃さないのはどの機材か? というところで考えるしかないんだと思います。
パナMFTレンズが小さくて可愛いというのも、小さくて可愛いからより積極的に持ち出して使いたくなる、撮りたくなるわけで、それって「使いたくねえなあ」と思う機材よりも、より良い瞬間に巡り合って撮影できる可能性が高まるんですよね。それは間違いなく優位な点なので無視できません。とはいえ、それはスナップの領域の話です。
風景写真の場合は目的地を最初に決めて移動し、到着したら三脚を取り出して、という感じでスナップとは作業の流れがぜんぜん違うわけで、スナップと風景を同時にこなすこと自体がなかなかのチャレンジなんだなという風に思います。
この問題、風景写真とスナップの割合及びどういう風に折り合いをつけるべきか、という風に軸が見えたので、その点についてはもやもや感が減って少し楽になりました。
この考え方でいくのであれば、旅先として設定した場所で風景を撮るのか? それともスナップを撮るのか? という風に、風景とスナップのどちらとして取り組むのかによって機材を切り替えちゃえば良いよねという感じがするので、ロンドンならMFT、大雪山ならフルサイズみたいな感じの割り振りができそうです。
また、旅写真というとスナップ感が強いですが、Travel Photographyという観点で旅撮りを捉えてみると、風景とスナップおよびその他の撮り方の割合が違って見えてくるのも面白いところ。
研究はまだまだ続きます。