きれいな写真を求める人はどこにいるのか?


 最近、旅と写真について延々と考えています。ここ3週間くらいかな。

 旅を撮って人に喜んでもらってマネタイズするにはどうすれば? というのを考えている、と文字にすると非常に情報商材屋臭くなってしまうのでアレなんでありますが、古くは紀行文から始まって、写真の世界でいえばアルベール・カーンというフランスの富豪が「お前ら珍しいもん撮ってこい」と世界中に写真家を派遣して撮らせまくったプロジェクトがあったりと、人が普段暮らしていて目にするものと違うものが見たい欲求というのは非常に強く、かつ普遍的なものであります。

 インターネットの力で世界が小さくなったとはいえ、普通に働いていれば一箇所にとどまらざるを得ないのが一般的ですから、目新しいものが見たいなあ……と思う気持ちは変わらないでしょうし、旅メディアがある意味でそれを代わりに達成したり、先行して「こんなところで良かったよ」とお知らせする役割を担うのも変わりません。

実際にそこに行くどうか

 旅に関する文章や写真、動画を扱うものを旅メディアとまとめて称することにしましょう。

 私が旅メディアをやるなら、みっちり写真修行をしてきている人間にしか撮れないクオリティの写真で勝負するべきと思います。スマホで撮っても構図力でちょっと違いが出ると思いますが、ある程度ちゃんとしたカメラを持ち込んだ方が、やっぱり写真をひと目見た瞬間の力強さが違うんですよね。本当は小さなセンサーのカメラだけでやりくりしたいですが、ある程度機材力を使わないと、スマホ撮りの旅情報に埋もれてしまうので、そこは仕方がありません。

 そうやって機材のクオリティをちょっと持ち上げるのであれば、せっかくですから純粋な「ここに行ったらこんな風になっていますよ」というお役立ち系の情報をやるよりも、より観念的な写真に寄って行った方が面白いんでは、と考えています。出来るかどうかは別としてなのですが。

 そして、このブログで写真を投げていくにあたり、その写真を楽しみにしに来てくれる人のところへ行って「どうですかあなたが好きな写真がありますよ」「だからブログまでリンクを飛んで来てください」と営業をしないといけません。

 逆にいえば、現在、YouTubeやTwitterで仲良くしている人、私の情報を受け取ってくれる人は写真仲間ばかりでして、写真仲間の中にいるのは非常に快適ではあるのですが、写真仲間は私の写真を教える能力について面白がってくれているわけで、私の撮る写真のファンかというと、一部そう言ってくれる方もいるのですが、率としては低いんではないかなと思います。

 これはネガティブな面でいえば、日本は写真やカメラを趣味にしているにも関わらず、写真そのものには全然興味がない人というのがけっこうな数おりまして、カメラを買うのに写真を見ない人というのがむしろ多勢を占めているんではないかなというのが個人的な印象です。
 残念なことではあるのですが、ゼロから写真を見る楽しさを勉強するという意味ではアリなんじゃないかと思います。自らの手を使って写真を学ぶことで、写真をはじめ他人が作ったものを見て楽しむことも同時に学べますからね。実際私もそういう人間ですから悪いことではないと思います。

 ただまあ、自分が撮った写真を売る側の立場になってみると、誰が写真を見て喜び、その先にあるプリントの購入なり写真集の購入なりに結びつくんだろう? というのは大変気になりますし、気にしなければならないところです。

 誰が写真を見て喜ぶのか? この問いを頭に留めて数週間生活してみたところ、こと旅写真のジャンルにおいては、「そこに実際に旅するかどうかは別として、旅行先のきれいな写真を見て『いいなあ、私もこんな旅行がしたい』と思う人」というのがターゲットとして浮かんできます。

 前にもこのブログでそのあたりの話題を取り上げたことがあると思うのですが、実際に自分が行くことが決まっている目的地であれば、とにかく何がどうなっているのかの明快な写真が欲しいわけで、別に美しい写真って必要ないと思うんですね。少なくとも私はどこに駐車場があってどこに見るべきものがあって、徒歩で何分で、というようなことが気になるので、現地で撮った美しい写真を見たいとは別に思いません。

 しかし、旅メディアを実用から少し離してみた時、写真がきれいであることが大きな意味を持ってくるなと気づきました。

写真がきれいかどうか

 写真が一定のクオリティを超えている状態を指して、あれやこれやのいろんな写真表現ひっくるめて「きれい」と呼んでしまいましょう。

 写真がきれいであることを求める相手でないと、きれいな写真を流してお金を得ることは出来ません。マネタイズ出来ないというやつですね。スマホの写真でOKの人に、中判カメラで撮った写真だから20万円ちょうだい! と言っても通報されるのがオチです。

 そのあたり、撮った写真を売るということは、いちおうアート商売に足を踏み込むわけですが、だからといって商業の原理から外れるわけではないので、潜在的な顧客がどこにいるのかしら……というのは、単純にお金が欲しいだけではなく、より喜んでもらうために必要ですね。

 ということで、きれいな写真を見て喜ぶ人がたくさんいる場所をご存知の方はお知らせ下さいね……Twitterやinstagramは、少なくとも私の目にする限り、写真を見てお金を払う意思のある人が集まる場所のようには見えませんし、外部でブログをやっている人に便利なシステムでもないですから、自力で探ってテストしながらやっていくしかありません。

 そんな中でも、恐らくYouTubeからの流れで来られているのだと思いますが、一定の方がPatreonで面白がって写真を見て下さっているのに大感謝です。

こういう写真でパトロン諸氏とコミュニケーションしています。

 それではまた!


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