宇和島取材、4件目に伺ったのは和菓子の製造販売をされている木下正月堂(きのしたしょうげつどう)さんです。商店街の店舗ページへリンクしておきましょう。
JRの宇和島駅の南側、宇和島城の東側に宇和島の繁華街がありまして、その中にいくつか商店街が走っております。木下正月堂さんがあるのは、そのうちのひとつ、宇和島袋町商店街。関東では町という字を「ちょう」と読むことが多いようですが、こちらは「ふくろまち」です。
さっそく代表の木下さんにお話を伺いながら、和菓子製造の様子をパチパチと写真に撮らせて頂きます。
リアルなお仕事風景を撮らしていただきたい、ということで、社会科見学的にひとつの和菓子の工程を最初から最後まで、という形ではなく、実際にお仕事をされている姿を撮らせていただきました。ランダムにあれを作って、その間にこれを作って、とされているところを撮影しています。
木下さんは4代目だそうで、木下正月堂という屋号で150年もの歴史があるんだとか。
てきぱきと流れるように作業されるのを横から撮りながら、私の一歳年上というのも伺いました。同世代なんですねえ。東京で意外と名古屋人に会わないみたいなもので、同世代の人とは人口的には決して少なくない筈なのにあまり会うことがありませんからちょっと嬉しかったです。そしてこのオーブンはそんな木下さんと同い年。気合が入っています。
道具類
こういう作業場に伺うと、いつも仕事道具を撮るのに没頭してしまいます。 今回も長年使い込まれて角が丸くなっている感じの素敵な道具がいっぱいありました。
仕事と道具の関係、使っている当人からすると毎日触れているものなので特に何の感動もないのかもしれませんが、私としては仕事の動作が染み込んでいるような姿に魅力を感じます。
新品のきれいな状態だと、製品としてそれを作った人たちの意図は感じられますが、使う人の意思が見えません。
カメラの世界でも真鍮製で塗装が剥がれて地金が出ているような古いカメラがカッコいい、という方が一部にいらっしゃいまして、なるほど確かに、と思います。電子回路が搭載されたくらいの世代から、市販されるほとんどのカメラは真鍮ではなくマグネシウム合金で作られるようになり、塗装が剥がれると本当にただ剥がれちゃったんだな、という感じになるんですよね。
ただ、いくら塗装が剥がれた真鍮のカメラがカッコ良いからといって、使い込まれた状態のカメラを買ってくれば良いとは思いません。あれは新品を自分で使い込んでいくものなんですよね。誰が使い込んだのかが大事ですから、四代にわたって道具を使い込んできた木下さんがその中心におられることに価値を感じます。
そうこうしているうちにこんがり焼き上がり。オーブンは40年以上経ってもまだまだ現役です。
というわけで、お忙しい中、リアルお仕事風景を撮らせていただいた木下さん、ありがとうございました。
宇和島市袋町商店街にお越しの際は、木下正月堂さんで和菓子を是非どうぞ。