5回目までやって参りました宇和島取材2022、今回は黒田旗幟店さんです。愛媛の観光情報紹介サイト、いよ観ネットにページがありましたのでそちらにリンクいたしましょう。
取材に伺ったのは6月23日、まだ午前中だというのにだいぶ気温が高く、午後には33℃まで上がる予報でした。
お店を訪れて第一印象が、目に鮮やか!
お店の外から入ってくる四国特有のキラキラした光が、色とりどりに染め上げられた布によく合います。そう、ここ黒田旗のぼり店さんは旗のぼり、鯉のぼりや大漁旗を作られているんです。
にこやかに迎えて下さった黒田勉さん、前回伺った木下正月堂さんと同じく四代目。これからUターン予定の五代目を育成されるそうです。なんだか良いなあ。
宇和島もかつては漁で賑わい、その後は湾内の養殖やみかんの栽培で大儲けした人たちがブイブイいわしていたお話や、当時と現在で宇和島市街が様変わりしているのも伺いました。世代的にどうしても「あの頃は良かった」になってしうのは、平成に入ってからずっと撤退戦を続けているような日本の経済状況では仕方のないこと。
ただ黒田旗のぼり店さんは懐古主義に陥ることなく、現代の宇和島にしっかり存在をアピールされているように感じました。なんといっても「古色蒼然」にならない鮮やかさですよ。
二階
二階にお邪魔するとそこは作業場になっていました。一階でお会いした黒田勉さんの弟さん、健さんとその息子さんが作業中。「なんでも好きなだけ撮っていって」「なんでも聞いて」とフルオープンで迎えてくださいました。なんてありがたい。
暑い日なのにすごい熱気だ、と思っていたらストーブを焚いて作業されています。色を付けたらすぐに乾燥させたいのでストーブだそうで。冬はもっとごついヒーターを使われるんだそうです。
そんな暑い中お仕事されているのに横から邪魔をしてまた宇和島のことをあれこれ伺いました。
最盛期は大漁旗だけで月産120枚だったそうで、さすがに手が回らなくなり、新潟へ外注へ出されたこともあるんだそうです。
個人的に面白かったのは、大漁旗というのは漁師さんが注文するのではなく、その取引先やなんかがプレゼントするために発注されるものというお話。そういえば誰が注文しているかというのは頭になかったのですが、漁師さんではなく、外部からの寄贈だったんですね。
Wikipediaの大漁旗のページにもそんなようなことが書いてあり、私にとっては新たな知識でした。
そしてやっぱり道具類に目が行きます。こちらも色鮮やか。
大漁旗の発注は恐らくどこかからの発注がないと仕事がスタートしないと思うのですが、同時に黒田さんのところで企画して作られている製品もあるので、その仕事の分かれ方は受注して撮影するカメラマン仕事と、自発的に作品を作って売る写真家仕事の両方を一緒にされているかのようです。
モチーフとして定番になっているものは、それこそ宇和島だったら牛鬼のようにいくつかあるのでしょうが、長い年月を経て定番化したモチーフや絵柄も、それを描く人ごとにじわじわ変わっていくことでしょう。店頭に置かれていた商品あれこれを拝見していると、私の目にはどれも新鮮に見えました。
これがまた息子さんの代になると、どう変化していくのか楽しみです。
宇和島の漁業の歴史と切っても切れない大漁旗。黒田旗幟店の店頭に行けばその力強い色と高いデザイン性を活かしたグッズあれこれが手に入ります。お近くへお越しの際は是非。