NIKKOR Z85mm f/1.8 S 合理的で良いレンズ


 YouTubeでもレビューいたしましたニコンの中望遠単焦点レンズのお話をしましょう。

フードなし運用中。

 本当にもう、割り切り! という感じのレンズで、最短距離で「ああいう感じのパキッとしていて後ろがサーッとぼけた感じの」という写りが手に入ります。このレンズを買ってカメラにくっつけて、絞り開放で撮れば出来上がり。

 ね。合理性が高いんです。あと黄色いものがやたらと気持ち良く写る気がします。

 私の地元のおっさんたちは、車の話をする時に「あのツデーって車、どう?」と聞かれて「ああ、よう走るよ」みたいな会話をよくしておるのですが、そういう感じの写りなんですね。細かいあれこれは抜きにして、とにかくよく写ります。

 撮れば納得、まず文句がない写りで、センサーが大きなカメラを買う人のほとんどの動機は「うしろがボケた写真が欲しい」「後ろがボケた写真が欲しいんだけどピントが合っているところはキリッと写って欲しい」ですから、その動機にスコーンと当てに行って見事ヒット! しかも色も良い! というレンズです。

 私もこのレンズをくっつけて撮っていると、何も考えずに使える画質の写真がサクサク手に入るので、業務的には最高に楽だな~という気分になります。仕事ではまだ使ったことがないんですが当然使えます。

 また絞っても良い。ボケの素性が良いので、そのまま何も起きずボケが少なくなっていくだけ。変な癖がないのが非常に助かります。

 ね。大したもんでしょう。

 「業務的には」最高に楽、と書いたのはレンズ道楽を楽しみたい人間のわがままでして、ヤシコンが好きな私からすると、あまりに素直すぎてつまんない、という部分もあるのですが、写真を撮る上ではレンズの癖にはめにいく撮り方って、楽しいんだけどある意味間違っているんですよね。その間違っている楽しみこそがレンズ道楽なので良いのですが、そこが写真を見た人にどう伝わるのか、というのが識閾下で起こることなのでどうなのか。

 つまり、最近音を録っていてよく思うことなのですが、ゴミみたいなラジオから流れてきてもビートルズのサウンドは素晴らしく、人の心を捉えたわけで、その核心の部分はサウンドのどの部分に潜んでいるのか? 写真でいうなら、それはレンズの部分に宿っていて、一般的に写真を見るだけの人は「何が写っているか」だけで判断するものの、レンズの写りはもっと意識の深いところにじわじわ作用するんではないか、と思うんです。

 もちろんその核心的な「良さ」はニコンZレンズにも潜んでいるかもしれないし、潜んでいないかもしれないので実験を繰り返す必要があるのですが、そこを見極めた後、核心を掴んでいるレンズがあるのなら、不便であろうがそこに戻る選択をするしかないのだろうなと思います。

 言い換えると色んなレンズを使うことは自分の目を鍛えることにも他ならないわけで、無味無臭の極致みたいなNIKKOR Zレンズは私の目をビシバシ鍛えてくれている感じがします。


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