Nikon D500が欲しい。


 つい先日、PENTAXが(というかリコーが)K-3 III Monochromeというピーキーなカメラを発売するというのを耳にしてAPS-Cセンサー搭載のよく出来たカメラが欲しくなっている。

 K-3 III Monochromeも非常に気になるカメラなのは確かで、レンズも単焦点で使いやすいものが揃っていそうなのだが、いかんせんゼロスタートで機材を買い集めるというのはなかなか億劫なことである。モノクロ専用機だけではマウントが分からないので、下手をするとK-3 IIIのカラー版まで買う未来が見えてしまうと、ちょっと手が出し辛い。

 対してD500は過去にカメラ仲間から借りたことがあり、同じセンサー搭載のZ50を所有していたこともある。D500は2023年の時点でも未だミラーレスより一眼レフの方が優れているニコンらしく、操作性、サイズ、画質含めすべての点において素晴らしいカメラで、ニコン製一眼レフの中ではD800と並んで極めて高く評価している。
 Z50はボデーもシステムもあまりに華奢だった。ミラーレスなのに一眼レフよりも機能が劣り、さらに操作性も劣るというのは納得がいかない。お手軽ミラーレスを枯れたセンサーで、というコンセプトは理解できるのだが、Z fcを先にやってD500的なものを手ぶれ補正内蔵のZ50として出してほしかった、と身勝手な消費者としては思う。

 D500はある程度大型なボデーなのでフルサイズ用のレンズを取り付けて望遠専用という使い方も良いと思うのだが、Z50については続いて発売されたZfcも含め小型ボデーなのでNIKKOR Z 35mm F/1.8 Sを取り付けただけでフロントヘビーで扱い辛かった。結果、画質とくに色味は素晴らしいのだがシステムとして使い辛いので売却してしまった。

 またどちらも共通しているのはAPS-Cセンサー、ニコンでいうところのDXフォーマット用のレンズラインナップがいまいち頼りないことで、レンズ遊びをしようとしても画角的にはまあ揃っているがF値可変のレンズばかりで面白くない。これはもともとニコンもキヤノンも、APS-Cセンサー機の位置づけからして仕方ない部分もある。レンズ遊びはフルサイズ機でどうぞ、というわけだ。

 今回K-3 III Monochromeが発売されるというニュースを聞いて「そういえば一眼レフってどういう感じだったか」と手元にあるD7200に数少ないFマウントレンズをかき集めて近所の公園へ撮りに行ってみたところ、ことのほか楽しく、ミラーレスよりも「撮っているなあ」という実感が強く、趣味を楽しんでいる気持ちに浸ることができた。やはりニコンはまだまだ一眼レフが良い。

 センサーサイズがAPS-Cというのも画素数含め使いやすいし、趣味の撮影で使うにはベストの選択なのかもしれないとすら思う。

 というわけで今日はD500とZ50の写真を振り返ってみたい。

D500

Z50

 D500はFマウントのレンズ群を使用し、Z50はすべて何かしらのZレンズを使用している。
 どちらもセンサーの絵作りが素晴らしいのだが、細かいところを突き詰めるとZレンズのつるつる、かちかち画質はフルサイズZセンサーのほうが相性が良さそうな感じがする。

 D500センサーはFマウントの、光学的に制約があって突き詰めきれない甘さや淀みを残した描写の方が気持ちが良いのかもしれない。

 もし今からD500を手に入れるとしたら、レンズはSigma 18-35mm F1.8のEFマウント版があるのでそれをFマウント改造してもらって使うかな、と考えている。ニコンFマウント純正で30mmから50mmあたりの単焦点も明るいものが一本ほしいが、F1.4クラスでピンと来るものがない。結局AFS NIKKORの50mm F1.8がベストということになりそうだが、シグマであれば30mm F1.4 DC HSMや35mm F1.4 DG HSMもある。どちらも大きめボデーのD500なら問題なく扱えそうだ。

 現在進行中のAmerica in Far East取材は仕事のような仕事でないような撮影なのでD500で楽しく撮ってしまうのも……という気持ちになるが、最近NIKKOR Z 50mm F/1.8 Sを購入して、なるほどニコンはこのレンズとセンサーの画質で次世代を描くつもりだったのか、と今更ながら納得しているところがあるので、しばらくその組み合わせで撮るつもりだ。
 そうこうしているうちにニコンから恐らくZ8が発表、発売されるので、Zレンズを使い倒すのが方向性として正しい。願わくばZ8がZ6のように使っていると気が滅入るカメラではなく、楽しいカメラでありますように。Z9でだいぶミラーレス作りがこなれてきた印象なので期待して良いだろう。

 ちなみに前回の記事、Hot Bunny Diner取材記はZ7にLeica Summicron-R 50mm F2 ROMで撮ったものがほとんど。画質はたしかに良いし、Z6よりも色味が豊かでカラフルさがよく伝わると思う。他メーカーと比べると媚びるところがほとんどない玄人向け画質ではあるのだが、短期間の評価に左右される必要がない、と割り切り、10年後に輝けば良いと覚悟を決めると、RAW現像をしっかりする前提ではあるがこの画質もアリだ。

 近いうちにNIKKOR Z 50mm F/1.8 Sのレビューを改めてしようと思う。


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