こんにちは。先日、湾岸で50歳会社役員の運転するポルシェGT2 RSと思しきスポーツカーがトヨタbBに追突し、bBに乗車されていたご夫婦が亡くなった事故……といいますか事件がありました。
なんと追突されたbB乗車のご夫婦は追突されたにも関わらず奥さんの方が車外に放り出されるほどの衝撃だったそうで、bBの後部はぐっちゃり潰れていたにも関わらず、ポルシェ側のドライバーは無傷。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200802/k10012546241000.html
これは一応事故という扱いになるのでしょうね。さすがに人を殺すことを目的に運転していたわけではないでしょうし、車を運転するという業務をしていた上で人を死に至らしめたので、一昔前だったら業務上過失致死になったのかもしれませんが、とりあえず逮捕時の理由は報道では過失運転致傷でした。これから容疑が固まり次第、危険運転致死傷罪に切り替わるのでしょうね。
事故というのは起きてから「起こしたこと」を問われる性質のものなので、このbBが後ろから迫るポルシェにもう少し早く気付けていたら、ということを考えずにはおれません。
いやそもそも、この会社役員という人が50歳にもなって日曜の高速道路でスピードごっこをしなければ、ご夫婦は死なず、高速道路が8時間も通行止めになることもなかったでしょう。直接的にも波及的にも不幸を撒き散らす、とんでもない輩です。
この件はまずポルシェのドライバーが50歳にもなって自己表現をする場、自己顕示欲を満足させる場として公道を選んでしまったことにより起きた悲劇なんだと思います。
何か満たされない気持ちがあったのかもしれないですが、車をすごいスピードで走らせることで自己実現ができるわけではありません。
自動車メーカー
また同時に感じたのは、追突した側、非常識なスピードを出していた側が生き残っていることの理不尽です。
かんたんにいえば、高い車ほど装甲が厚く、乗っている人間が生き残るように出来ていますよね。それ自体は別に良いことだと思うのです。でも、ぶつかった時に相手が生き残るようには出来ていません。
そして事故の原因が安い方の車にあれば良いですが、今回のように高い方が原因の事故の場合、原因が高い車の方にあるのに、死ぬのは安い車の方だ、という理不尽が起こります。
なんだそりゃ、と思うんですね。因果がおかしい。
自動車メーカーは「速いですよ! 安全ですよ!」と売り込み、買う側もそこに期待して買う部分があるわけで、まあ他にもあれこれブランド代どうこうもありますが、(周りの車よりも)速くて(乗る人にとってだけ)安全と正直に言うことはありません。高級車って速くてでかくて重いことが多いので、殺傷能力も高いんですよ。
世の中ってそういうものなので仕方がないといいますか、何にだって善悪両面がありますから、すべてスパッと割り切れるものでないと分かってはいますが、今回のようなケースを見るとやってられないなあ、と思います。
高い金を払って高い車を買ったからといって、人を殺して自分だけ生き残る権利を買ったわけではありません。
また同時に、メーカーの責任としてはちょっとどうなんだろう、スピードリミッターがない車を、公道で好きなだけスピードを出して事故れる状態にして売りさばいていたりするわけですから、責任は問われて当然じゃない、と思うんですね。
誰かその点についてツッコミを入れないんでしょうか?
ポルシェさん、お宅の車は速いし乗っている人は安全だっていうけど、その車を買う人達の品性が優れているとは限らないし、お宅の車が必要以上に速いおかげで死ななくて良い人が死んだんだけど、責任についてどう考えているの? と。
どうせポルシェはその顧客層と食い違ったところでコメントを出したところで商売にメリットはありませんから、ろくにコメントはしないでしょうが、それだけでも記録に留める必要はあるかと思います。
まあNRA式の「殺すのは銃ではなく人だ」式の回答が関の山かな。単純に「速くないポルシェは売れないからリミッターは付けたくない」のでしょうが、それを正直に言うことはできませんから。
メディア
また、そうしたツッコミを入れるのに一番適しているはずの自動車メディアについても、期待はできないでしょうね。
「速度は守って楽しみましょう」といろいろな記事に但し書きをつけるわけですが、本気でそれ思ってる? あなたたち絶対に制限速度で走ってる? と思うんですね。
回答は「そんなわけないじゃん」であります。ええ、私も速度制限を100%守れているかといわれればそんなことはありません。
ですから自動車雑誌に書かれている「速度を守りましょう」はアリバイ作りのための文言でしかない、というのは日本に暮らす大人であれば誰もが理解できる、してしまうところと思います。
さらに自動車雑誌に携わるような人はもともと自動車という機械が好きな人達でしょうから、日本のようにサーキットが少なく、速度規制は恣意的で……というところで自動車の性能を多少でも発揮して楽しみたいと思うと、いつの間にか速度制限には違反しているに違いありません。
そもそも公道を走るスポーツカーという存在自体がおかしいんです。筋論でいけば公道でスポーツするんじゃない、という話ですから。その「いけない」公道でスポーツするから楽しいわけですが、認めてしまっては筋がおかしいんですね。大人なら分かりたくなくても分かっちゃう話です。
結局、全員が賢くて全員が状況を読めるのであれば速度制限自体要らないんですよ。でも全員が賢いわけじゃないので規制するしかありません。
私自身、最近はもうめんどくさいので制限速度で走るようになってしまいましたが、もともとはバイクでスピードを出すのが大好きでした。当時別に深い考えがあったわけではなく、独善的で「スピード! 楽しい! キモチ良い!」というだけのことです。麻薬と変わりません。
子供からちょっとだけ大人になり、行動の範囲が広がり、バイクという大きな機械を自分の好きなように扱い、あまつさえ法規制を突破するアブナい遊びをしている、というのでそりゃ楽しくないわけがないんです。酒も隠れて飲んだ方が美味しいに決まっています。人間にはそういう側面が間違いなくあります。
ただ良い年のおっさんになって考えてみると、隠れて飲む酒と比べ、スピードを出す行為というのは他害性が高く、責任が取れなくなってしまう確率が高いんです。
事故を起こした時にはもう「起こっている」わけで、人を殺したら交通刑務所に入ろうが民事で訴えられようが、責任を取ったことにはならないんじゃないでしょうか。このあたりは運も絡んできますが、とにかく「起きたことは起きた」わけですから。
もし私が妻を今回のポルシェのような車に殺されたら、犯人の方には直接責任を取ってもらいたいと思うに違いありません。
それを社会が許すか許さないかは別の問題でありまして、日本は暴力装置を国家が掌握していることになっているので個人的な復讐は許されませんが、法がすべて機能しているのであれば、今回のようなことはそもそも起きていないわけでありまして。
ワルに憧れる心理
また話を戻しますと、自動車メディアの皆さんは、車が高性能で「ヤバい」感じがするほどワルに憧れる感じでもてはやしますが、記事の端々に「公道で非合法にぶっ飛ばす」ことをにじませる文言がたくさんあるんですね。
そりゃちょっと踏めばすぐ非合法な速度が出てしまうような高性能だからこそカッコ良いわけで、「スピードを出すかどうかは個人の問題」と免責しながらも、その記事を気に入って車を買った人が即座に非合法な行いを出来るように、またそれを助長するように記事を書かざるを得ないわけです。じゃないと記事が売れないですから。
これがもし違法な薬物の記事であったらどうでしょうか?
このクスリ、気持ちよくなれるよ~! 非合法だから使うかどうかは個人の問題だけど、それはそれとしてめちゃくちゃ気持ち良いよ~! というような記事があったとして、社会がそれを認めるかというと、たぶんNGでしょうね。
私個人としては表現の自由の観点からすれば一応アリと思うのですが、ポリコレが進む社会なので今後どんどん規制が強まっていくと思いますし、薬物で人を殺すよりも、自動車で人を殺す方が件数として間違いなく多いですから、助長する情報も規制すべきという声が高まっておかしくないと思います。
しかも、もしも自動車雑誌が「安全推進!」という立場でキャンペーンを張ろうとしても、そんなつまらない自動車雑誌は誰も買わないでしょうね。グレーゾーンに踏み込まないラジオライフみたいなもので、そんな安全と分かりきった自動車雑誌は免許の更新に行った時にもらう交通安全冊子と同じですから、直接お金を払ってまで買おうと思う人はいません。
またメーカーがやっていることやショップがやっていることに対して「これはいかがか」と異を唱えるのも無理でしょうね。広告が止められてしまいますから。
まとめ
この記事を書いていてふと思ったのですが、今回のことで、法定速度以上にスピードが出る車に対して、もっとリミッターを強めようという方向に議論が進むでしょうか?
私個人としては、自家用車が100km/h以上出なくなったとしても、電子制御できる時代ですから問題ないと思うんですね。つまり上り坂や下り坂であっても対地速度で100km/hをキープできるように制御するのは簡単なはず。クルコンがやってますからね。
むしろ早く全車自動運転の時代が到来し、全員が一斉に同じ速度で走る状態になってほしい(そうすれば理論上事故は起きない)と思っているくらいですから、是非その方向で推進してもらいたいと考えています。
私の目的は「見て見て! 僕こんな速い車に乗ってるんだよ!」と公道で自己実現しようとすることではなく、またそうしたアホに追突されたり、自分が誰かを傷つけることなく、安全に目的を果たして速やかに自宅に帰ることですから。
自分がスピード違反をしている時ですら、自分以外の車にももっとスピードを出して欲しいとは思わないのが普通の人間であり、恒常的に制限速度を上回って走っているような車は、かつての長距離トラックのように寝る時間を稼ぐ目的でもない限り、単に周りの車よりちょっと速く走って気分が良いや、という程度の理由とも言えないような理由しかないと思うんですね。
そんな杭は無駄に公道を危険にするだけなので皆で叩けば良いと思いますし、公道で自己実現したがるような人には「サーキットに行けば」で話が済みますから、ガタガタぬかすなら税金でちょちょっと適当なサーキットを作ってやって、そこで念書と遺書をしたためさせた上でリミッターを解除してやればOKという気がします。
むしろサーキット内を治外法権的にノールールOKにできる立法もあって良いと思うんですね。メリハリは大事です。おそらく保険屋さんが一斉に手を引くとは思いますが、リスクとはそういうものです。
そうやって環境が整ってもまだ公道でガンガンスピードを出したいという輩は、これはもう銃器を所有しているような本気の非合法なのですから、懲役をも食らう覚悟ができているでしょう。本気で取り締まる警察と追いかけっこすれば良いのでは、と思います。
Vシネマの世界のように、そこに憧れちゃう自由もありますからね。
それではまた!
今回の事件、私が目にした範囲だけでも、「ポルシェが乗用車に追突」なんですよね。
何なんですか、ポルシェは乗用車じゃないんですか?
せいぜい「スポーツカーが乗用車に追突」じゃないんですか?って思います。
じゃなきゃ「ポルシェがトヨタに追突」って書きなよって、、
何なのそのiPhoneをスマホって言ったら怒るみたいななの、、
で、今回のはbBの後ろを走っていたトラック?のドラレコの映像がニュースで流されたわけですが、それを見る限り、トラックが追い越し車線に出た直後にbBが追突されているので、bBの運転手は状況判断の時間がなかったんでしょうね。
ドラレコのトラックがなぜ追い越し車線に移ったかは分かりませんが、結果的にそれで道をふさがれた格好になって、ポルシェが直進するしかなくなっちゃったんでしょうね。
それで、トラックが悪いとか言っている人もいるそうですが、そりゃぁ真後ろからとんでもないスピードでクルマが迫ってきているのが見えていたらとっさに逃げるのは当然だし、bBを追い越したくて追い越し車線に出たのなら、追い越し車線を走ってくるクルマは無いか、すぐ後ろの車が右ウインカー出していないかくらいの注意で良いはず。
車線を縫ってすごいスピードで走りたがる奴らは妙にぎりぎりで車線変更したり、下手すりゃ「高級外車ってウインカー、オプションなの?」って位ウインカー出さなかったりしますから、今回もそうだったんでしょうね。
スピードリミッタの件で言えば、今はどうなのか調べていませんが、国産車では必須となっているような装備でも輸入車だとなくてもOKだったりという事があるようです。
まずはそんな輸入車優遇をそろそろやめてほしいですね。
まぁ、そもそも高速道路でも最高100km/hなのにリミッタが180km/hである必要があるのってのは確かにありますが。
日産のGT-Rはカーナビと連動して、サーキットに入ったらリミッタが切れるようになっているそうです。
そういうのがあるのなら少なくともリミッタの速度をもっと下げても良いと思いますけどね。