今回がラスト、音楽専門学校で幅広く講師をされている峰原さんのインタビューです。
本編
(3/3)
伴:なんか学生さんに教えることなんていろいろありそうで、2年なんてすぐでしょうね。
峰原:そうですね、あっという間ですね。
伴:そして皆教えたことはすぐに忘れているんで…保安面とか教えます?
峰原:といいますと、現場でのとか?
伴:そうそう。これやると死ぬから、みたいな。
峰原:一応やりますよ、危ないところはやっぱり真っ先にやりますね。
伴:どの辺ですか? PAで危ないの…まぁ落ちてきたら死ぬとかそうのはあるでしょうけど。
峰原:あと例えば、電源ドラムとかを…
伴:引き出さないと…
峰原:溶けるよって、派手に溶けた画像見せたりとかして、へぇっみたいなやつとか。あとは、電気の話もやるんで…濡れた手とかだとね、触ると電気が流れやすくてね、とか。
伴:風呂あがりにコンセント触るな、とか。
峰原:そうですね。そういう本当に基本的なところからやらないと…
伴:家庭環境も差があるからわからないですもんね。
峰原:あとは現場にいく子たちついては、現場の大人にあれこれ言われて、勝手に身につけて帰ってくるので…
伴:また1年生が来たわってなるもんね、現場1年生が。そうでしょうね。
峰原:それで、これやった、やった、やったね、これやってないね、じゃあこれやろう、というのを学校で詰めればもう大丈夫、みたいな感じですけどね。
伴:PAは確かに人手がいるもんな…だってLANケーブルの向こう側だけでも、えらい何メートルもケーブルがあって、何十回線、何十チャンネルも…今ってドラムとかどれくらい立てるんですか?例えばプロで…
峰原:10〜15の間くらい…
伴:そんなもんなんだ。
峰原:でもセットがどれくらいあるかによりますけどね。
伴:コンガついてるついてない、とかそういうのもね。
峰原:でもひとりプレイヤー、20は超えないでしょうね。
伴:15本くらいのイメージだったけど、そうなんですね。たいした本数ですよ。
峰原:よく使いますよね、本当。
伴:マイクってトレンドあります? 最近。
峰原:トレンド…新しいのは出てきますけど、でも特にPAについてあるのは定番機種のが強いですけどね。
伴:SHURE?
峰原:SHUREとか…
伴:バスドラにはクジラ…たまご型のあれを突っ込むってイメージ…
峰原:AKGとかありますね…でもSHUREが結構多いかな…
伴:そうか…あれAKGか。あれ、SHUREのもありましたっけ。
峰原:SHUREのもあります。
あとはバウンダリー突っ込んで、ベチベチいわせるとかいろいろありますけど…
伴:バウンダリー…中に?
峰原:中に入れます。
伴:ビーターの音を拾いやすくなる?
峰原:そうですね。なので低音はでっかいたまご型のやつで、ベチベチ音はそのバウンダリーのほうで、それを混ぜるみたいなとか。
伴:それでもう2チャンネル…
峰原:もう2チャンネル。それがね、バスドラ2つあった日には、それで4チャンネルとかになっちゃいますけど。
伴:ビーターってドラムのバチね。バスドラって足で踏むとバチの部分が、ドーンドーンってこれの部分を足でやるわけですよ、バチバチって。その音のアタックっていって、カチッっていう音の硬い最初のアタック音を、バウンダリーっていって…バウンダリーって舞台とかで床に置いて、声なんかの音を拾うやつね。あれでカチカチの音を拾って、ドッフンドッフンのほうをもう一個のたまご側の低音用マイクで拾おうっていう…位相は大丈夫なんですか?
峰原:一応合わせますね、それも。
伴:合わせる?
峰原:合わせます、はい。
伴:アナログ卓とか、そんな機能ありましたっけ。
峰原:スイッチでやれるのは、正相か逆相だけなので…それをもし細かく合わせるんだとすると位置関係をどうにかする…でもそんな変になりませんけどね。
伴:周波数の距離を割り出して…なるほどな、位相…フェーズです。フェーズってどう説明するんでしょう。
峰原:でもその周期の中での、何度ズレてこれだからみたいなのやりますね、一応。
伴:ねじれた感じ? フランジャー…まさにフランジャーみたいになっちゃうわ。そんな感じですね、そうなったらなんとかしましょうって…
峰原:レコーディングだと波形でズラせるので、合わせますけどね。
伴:あとでね。プロツールスはね、こうやって見えますもんね。
峰原:そうですね。
伴:すごい世界だな…でも見えちゃうのってつまんないでしょうね、きっとね。
峰原:そういう人いますね。
伴:見えないから面白いっていうのは…
峰原:録音の人たちでよく、特に言いますね。お前、画面ばっかりでカチカチしないで、耳を使えって言って画面見せない、みたいな。EQ操作は耳で覚えろみたいなのはありますね。
伴:生徒さんでね、クラシックの録音の人がいるんですよ。その人とオーディオの話で盛り上がっちゃったんだけど。録音の側もだいぶ…しかもクラシックなので、たぶんそう派手なことはやらない…
峰原:そうですね。ホール選びから始まり、みたいな…
伴:そっちですよね、たぶん。
峰原:マイク吊り下げ、終わり、みたいな感じですよね。
伴:そうか。他チャンネルじゃなくて、天吊りのふたつで、ステレオってこうでしょみたいな…
峰原:でしょうね。くらいの勢いでしょうね。
伴:命がけでその位置を割り出していかなきゃいけない…大変ですね。
録音ね、録音って本当、マイク適当に置いてポンで終わりそうなイメージだけど、なかなかそういうわけにも。レコーディングの仕方で音楽が変わっちゃうっていうのを…リアルに聞くと伝わるだろうな。写真にもつながりそうな…iPhoneでポンで撮るのか、みっちりあれこれやって撮るのかっていう。違うでしょうね、きっとね。そこまでやればわかってくれるかなって気がしますけどね。でも専門学校に来るなら、まずそこのレベル…
峰原:まぁ、そうですね。その辺は…
伴:ですよね。よく思うのは、ロックスターに憧れて楽器やりに来る子はわかるんですよ。でも録音側にいきたいっていう動機は若い子から聞くんですか?
峰原:聞きますよ。PAとかレコーディングの子でも。
伴:なんでPAになろうと思った…
峰原:楽器はやってないんだけど、音楽系に携わりたいって、ライブに行って楽しかったからとか…
伴:軽…軽いなぁ。
峰原:それくらいな子ですよ、本当に。事前にあんまりやれないじゃないですか。軽音部に機材があればまだいいですけど。なんとなくで来て、楽しそうだな、大きい音楽しいなってくらいで入ってきますよ皆、割と。
伴:軽音部の部室のベリンガーの8チャンネルの卓がよくわかんない、みたいな感じですか
峰原:そうですね、なんだろうなってくらいな感じで。でも最近の軽音部、予算が皆あって、人数もいるんで結構すごい機材あったりするんですよ。
伴:『けいおん!』の効果ですか、それは。
峰原:それもありますよ、たぶん。
伴:だってうちの最寄駅でこの間、偶然、通勤通学時間帯に通りかかったら、ギターケースを持った女子高生…制服着た女子高生がわらわらいるんですよ。
峰原:いますよね。
伴:同じバンドかと思いきや、全然関係ないらしい人たちがめちゃくちゃいるんですよ。なんか不思議な感じでね。僕、クラスにひとりいるかいないかくらいだったんで…ふたクラスにひとりくらいだったかな。楽器やってるやつは。楽器っていうか、軽音関係の。
峰原:けいおん! が流行ってから、いろんな楽器をもとにしたアニメとか漫画とかが結構流行ったりとかして、クラシック系のとかも含めて。その影響もあって、本来だと、けいおん! が流行る前だと、楽器やりたいんだけど動機もなくて、高校卒業してから専門学校来てから始めていたような子が、高校生のうちに結構ゴンってやっちゃって、そこで燃え尽きて、もう専門学校に来ないみたいな現象が結構起こってて…
伴:音楽に対する夢がもう無くなっちゃってるんですね。
峰原:そこで、先食いっていうか…みたいなのが結構起こってるそうですよ。
伴:そうなんだ…早いな…
峰原:結構な人数入りますからね、いち学年。相当多いですよね。
伴:ベンチャーズ世代のおっさんとかだとそういうのもいたかもしれないですね。高校のうちに、あれはもういいよっていって、じゃあ俺はもっと所謂カタギの仕事にっていう人がいっぱいいたかもしれないですね。
なんか面白いもんだなと思って。若い頃って、意外と軽く決めるし、別に意外と間違ってないこともあるじゃないですか。ご縁があって興味が向いたことに、とりあえずやってみるかっていうのは、やっぱり大事ですよね。それでいろんな職業が成立してる部分がありますよね。
会社の大きな企業の総務の人とかだと、それは別に就職でそこに行っただけで…就職をしようって思っただけで、そこの会社に入りたいっていうのでもなければ、ただただ兵隊さんとして、社会人として叩きこまれてってだけだから…それもそれでご縁だからね、また別ですけど。技術系は基本的に自分で目指さないとそこ行かないですもんね。
峰原:そうですね。
伴:カメラマンでもそうですけどね。それを考えると不思議な感じがしてね。そうやってPAの人とか出来てるんでしょうね。PAさん。照明さんとか…
峰原:PAさん、照明さんとか。
伴:前、なんかいましたね。とんねるずのなんかの番組に出て、アイドルか若い女優さんかなんかが、照明やってる人って何を考えて照明になったんだろうって…僕が聞いた時、純粋な疑問だと思ったんだけど、結構傷ついた人がいたらしくて。ちょっと問題になっちゃった…上から見やがってみたいな。
峰原:なるほどなるほど。
伴:でも思いますよね、PAやってる人に限らず、その辺でパン屋さんになってる人が、パン屋さんになろうと思った動機が何かしらあって、たぶん専門学校とかちょいちょい行ってますよね。脱サラして始めたとかじゃなければ。脱サラしても学校行ってたりしてるでしょうし。その動機って結局はなんとなくご縁があってていうのが多いんでしょうけど、世の中ってそうやって出来てるなと。
ていうか峰原さんはなんで講師になったんですか?
峰原:流れと言ってしまえば流れですけど、僕ここの卒業生っていうのもあって…
伴:そうなんだ。
峰原:そうです。そもそもはギター科で。それもなんとなくで決めましたけど。
伴:ギターいいな、ラリー・カールトン好きとかそういう感じですか?
峰原:そうですね、ガンズとかそういうところから…中学生くらいから、小さい頃から言うとピアノやってて。それから中学生くらいからギターを始めて、進路を考えたときに、もうちょっとギターやりたいなっていって、ギター教室に行ってた時の先生がここの卒業生で…ていうだけで、そこに行こうって。
伴:ご縁ですね。若い頃は狭いんだよね、どうしても。自分で調べてっていったところでね。
峰原:それでここに来て、卒業する頃に、お前ちょっとなんかやってみないかって言われて、はいって言って、そこからですね。
伴:いきなり講師?
峰原:アシスタントくらいからでしたけど。でもそれ1,2年やってからですね。
伴:外部の現場も行きながら…
峰原:そうですね。いろいろ広げつつって感じですね。
伴:面白いな…確かにね、コンピュータ系のプログラミングとかの専門学校で教えてる人で、卒業していきなり講師側に回る人ってちょいちょいいたんですよ、周りに。なるほどそうか、教えられるしねって。現場叩き上げ系の、外部から刈りとって来た人とかもいるんですか?
峰原:いますよ。
伴:両方いますよね。
峰原:いますいます。
伴:ミュージックビジネスとか教えてる人はそういう人でした?
峰原:そうですね、そっちのほうが。
伴:現場の汚い話をいろいろ…
峰原:いくらでも、たぶん。ドバーって言って女の子たちがキャーって言ってますけど。
伴:でしょうね…夢を壊す部分がね。でも夢を抱きすぎも危ないんでね…へし折りすぎも良くないですけど。
峰原:現実見せないと…
伴:現実ね…そう、ギターが弾けるからといって飯が食えるわけではない、営業にも行かなきゃいけないよって。ミュージックビジネスって考えたときに、商材として既に売ってて成立してる…ようはレコード屋さん…ってないですけど、CD買いに行ってタワレコにアルバムが並んでる人たちは、ある意味もう結果じゃないですか。だからそこに自分たちが、これから新しくバンドを組みます、ミュージックをビジネスにしたいっていう時に、業界の構造を勉強して、どういうふうに予算が流れて、誰が買い、予測される顧客は誰なんだとかってやりますけどね。そういうの若い子に一応教えないと…
峰原:そうですね。全部やってるみたいですよ、一応。
伴:レコード会社っていうのはって。レコード会社と、版権管理する音楽出版社と、マネージメントとまた別なんだよって話を誰かがしないといけないですよね。
音楽出版社っていうのがあるんですよ。音楽出版社というのは、著作権を管理する会社って言ったらいいんですか?
峰原:で、いいんじゃないでしょうか。
伴:版権を管理してくれるんだけど、日本の場合はレコード会社と音楽出版社が一緒になってしまったりとかしてですね、新聞とテレビのクロスオーナーシップみたいなもので。権利団体とそれを売る人たちが一緒になっちゃってるんで、バンド側をいくらでも搾取ができてしまう危険な状況に陥っているというのが、もう10年以上前から言われてるんだけど…よくあるパターンですね、よく見てるとね。ミュージシャンって印税安いですからね。
今はどんなもんなんですか?業界…標準の印税。前は5%でしたけど。
峰原:そんな感じですよ、普通にやると。
伴:詞と曲合わせて5%ですよね。
峰原:なので、ある程度頑張って自分で事務所つくっちゃって、そっちになるべく権利を移していくとかってやる人もいますけど、ベテランくらいまでいかないと難しいですね、やっぱり。
伴:ですよね。
峰原:インディーズは桁が変わりますからね、いきなりね。
伴:ゼロ一個。そうですね、原盤権自分で持って原盤から…ちょっと待って、この話を始めると皆首捻るんですよ。原盤権っていうは、その原盤を…CDなりなんなりのマスターを作るのに、複製の元になる大元のやつを作るために、お金を出した人っていうことでいいですよね?
峰原:そうですそうです。
伴:原盤権…レコード会社がレコード会社の予算で、お前らバンド作れっていうと、その原盤権をレコード会社が持つことになるし、インディーズレーベルの場合は一応インディーズの、自分たちでお金出してるから自分たちで原盤権を持つ、ということになってますよね。だから、マイケル・ジャクソンがビートルズの版権をいっぱい買いまくったっていうのも…あれずいぶん昔、夢の国が壊れる前ですけど。それもその原盤権を買ってるっていうことなんだろうなって僕は理解してたんですけどね。実際どうかわからないですけどね。このチャンネルを見てるおじさんのほうが詳しいかもしれない。
原盤権っていうのが、一番割合としてCDなりなんなり売れた時に、一番ごそっと持っていける…何十%ですかね、50%とか取っていきますかね。
峰原:そうです、いきますいきます。
伴:4,50%持っていきますよね。原盤権を持っている人が、実は音楽を作った作詞作曲した人、演奏した人よりもごっそりお金が取れるっていう、昔からどうしても搾取的な構造になってしまう…ところが出版の世界にもありまして、本書いた人の取り分が10%なんだよね。
出版の印税って、書いた人8〜10%で、90%は出版社です。ただ昔はよく宣伝していたし、印刷…実際の印刷にかかるお金とか編集にかかるお金、本を作るためにかかるお金っていうのは全部出版社が持ち出しで、紙も買って来てね。印刷させて、校正校閲ってやってるんで、ということになってましたけど。
音楽の場合は、相場って一応言われてるのがCDの代金の5%を、作詞作曲のふたりで割るっていうのが…だいたいそんなもんでしたよね。
峰原:そうですね、あとはアーティストによって多少はありますけど。
伴:大御所になるとパーセンテージが上がる。なんかね、出版で12%くらいまで上がった話は聞いたことありますけど。でも2%かな…その辺りの話もがっちりするんでしょうね、きっと。
峰原:してるでしょうね。
伴:ということは、CDシングル100万枚売れましたっていっても…あれ意外とお金入ってこない…100万枚で500万円?
峰原:とかですよね。
伴:そんなもんですよね、確かね。アルバムで1500万円…100万枚売れて。少なくない? って思うんだけど…
峰原:あとは二次使用料とかで延々と入ってきますからね。
伴:カラオケ印税。
峰原:結構でかいですからね。
伴:虎舞竜。
峰原:そうですね。ほぼほぼ…あの人たちもずーっとですからね。
伴:カラオケで歌われると、カラオケの会社からJASRACにお金が支払われ、そこからJASRACの取り分が取られたお金の残りが入る…あれ面白いのは、包括契約じゃないですか、JASRACって。包括契約なのにカラオケだけはがっちり何の曲が歌われたっていってお金が入るっていう、どういう計算式になってるんだっていういつも不思議なんですよね。代々木にありますよね、JASRAC。
峰原:ありますね。
伴:井の頭公園を…今日、井の頭通りを走って来ましたけど。陸橋の下をグーって潜ってくると、JASRACっていうのが…東京来た時にこれが噂のJASRACかって、初めて見た時に、渋谷寸前にね、通った時に思いましたけど。そういう感じですよね。
ミュージックビジネスもこれから変わります?
峰原:でも海外だととっくの昔にCDが割と終わってて、サブスクリプション、ストリーミングとかが来てて…日本もとりあえずだんだん、アーティストによりますけど、解禁をしているので変わっている最中だというふうになってますね、一応。
伴:サブスク…サブスク問題。定額で払っておけば聴き放題。で、アップルなりなんなりってサブスクリプションを提供している場合は、会社のほうは、誰の曲がどれくらい再生されたかなって権利を分配して、もちろんね、たくさん再生された人にはたくさんお金がいっぱいいってるんだけど、CD売るよりも…どっちなんでしょうね。
峰原:一応、レコード会社的においしいのはCDビジネスのほうが、はるかにおいしいっていいますけどね。
伴:はるかに?
峰原:はるかに。
伴:もう明確に違うんですね。
峰原:でも時代としてそっちにいっちゃってるんで、もうしょうがないよねみたいな。
伴:ミュージシャン自体もCD売ってもらっても大して儲からないからライブで稼ごう、360度ビジネスだ、マーチャンダイジングビジネスやろうっていって。メタリカですら、ファンクラブをチヤホヤするのに、最近めちゃくちゃ命をかけてる。ファンクラブのツアーで、例えば円形のライブ会場…360度の舞台に、オリの下…メンバーがこうやってるところの下に、どぶ板みたいなところがあって。どぶ板の下に入れる権を、ファンクラブのしかもプレミアチケット…ひたすらこうやって、どぶ板の下からジェイムズ・ヘットフィールドを見る、とかってやってて。
あとファンクラブの人だけが参加できる、ヘッドクォーターって呼んでるんだっけな…メタリカが所有しているでかいスタジオのツアーとか。そういうのやって、また別料金で取ってるんでしょうね。そうやって稼ぐ方が、CD売ったりするよりもバンドのほうがお金が儲かっちゃうっていう時代になってるようでございます。
実はミュージシャンて儲からないです。その辺りがね、技術っちゃ技術、芸術っちゃ芸術の世界ですけど…なんか因果なもんですね。
峰原:そうですね…
伴:しかも音楽家はだいたい楽器やってれば幸せっていう人が多い…また、より騙されやすいという…
毎年毎年ここからいろんなミュージシャンとかいろんな音響さんとかが旅立ってくんですね。
峰原:そうですね。割と皆頑張ってますね。
伴:だいたいは真面目な子たちでしょうからね。
峰原:人間的にはそう、とてもいい子たちが多いんです。仕事的にどれだけガッツがあるかは別として…
伴:また景気がよくないんで、ガツガツやれば儲かって、でかい車が買えるぜとかね。ギラギラしたお姉ちゃん連れて歩けるぜとかそういう時代でもないんで、なかなか我々大人サイドとして価値が提供しづらいというか、明るい未来が見せてあげられないのは、なかなか辛い部分ですよね。
おじさんだってお金があれば、真面目に働いておじさんになってる頃にはちゃんと積み上げがあって、いい車が買えるよとかね。一戸建てくらい買えるぜとかっていうのが昔の…僕ら子供の頃は、そういうおじさんたちがいっぱいいましたけど…そういうのないですもんね、今ね。
峰原:ないですね。
伴:YouTubeで動画流してるとね、おじさんたちが楽しそうにしてると、若い子がね、未来に希望が抱けるのでありがとうっていうコメントがきたりする時代なんで。
音楽志す子たちに何か言ってください。田舎でギター弾いてる子とか、たぶんいると思うんですよ。
峰原:なんでしょうね…学校に来てる子もなんとなく、だいたいで来てる子も多くて。その子たちも自分から動ける子ってほぼほぼいないので、何かやりたいんですって、じゃあ行きなよって(アドバイスをした時、実際に)行く子って10人にひとりもいないので…
伴:学校の時点で?
峰原:全然いないです。
伴:そういう子が来るもんだと思ってましたよ、僕。
峰原:なので、何かやりたいことがあったら、どんどん自分から動くと。割とどんどん道が開けていくと思うので、どんどん動きましょう。ていう感じですかね。
伴:ど正論ですね。写真に興味あったら…前いましたよ、突然メール送ってきて、カメラマンなりたいんですけどって。お前とりあえず来いっていって。
その辺のおじさんって黙ってるだけで恐ろしく見えるかもしれないですけど、僕らも子供だったんで…別に取って食うわけでもないし、自分の同じ道を志してカメラマンになりたいって…僕はカメラマンだから、カメラマンになりたいって子はやっぱかわいいし、峰原さんもね。音楽の何かしら音楽の仕事にっていう若い子はきっとかわいいんで、フルケアで面倒見れるわけじゃないんだけど、相談くらいにはいつでも乗れるよねっていうふうに思ってますけどね。
困ったら峰原さんところに…代々木に来れば、峰原さんがお父さんのように温かい愛情で迎えてくれると思うので。見ててくれると嬉しいな、若い子。おじさんになっても意外と楽しいからね。周りで今これを見てるおじさんたちも、意外と楽しいよっていう人たちが結構いると思うので、皆で…そりゃ景気が良くなればそりゃいいけど…景気が良くなくても楽しいことはいっぱいあるので。
特に技術者は自分の目の前の技術と向き合うのがいちばんの幸せだと思うから、そこをね。専門学校でそこを教えるのがいちばん難しいそうだなっていう…職人魂。
峰原:そうですね。
伴:狂ったように半田付けして楽しい、とか。
峰原:でも勘の良い子はやっぱ何かしら感じ取ってくれてるみたいですけどね。
伴:いいことですね、必ずいますからね、そういう子は。
今日は代々木にお邪魔して…ミューズ音楽学院にお邪魔して、峰原さんにお話を伺いました。途中だいぶマニアックな話を、わたくしがエキサイトしてしまって申し訳なかったですけど…でもね音楽って本当に…写真もそうですけど、すごい幅広いじゃないですか。深みも厚みもすごいし、人類で音楽を聞いたがことない人ってほとんどいないくらい、やっぱり共通の話題にもなり得るので…音楽っていいですね。
峰原:いいですね、本当。
伴:若い子も是非見てらしたら、音楽の道に飛び込んでいくと…とりあえず楽しいことはいっぱいあると思います。
ありがとうございました。またね、またね。