彼岸花の可能性を探る

 大きなタイトルを付けましたが、ただ毎日楽しく彼岸花を撮っているだけといえば撮っているだけです。はい。

 色んな花を毎年毎年撮り続けているなかで、彼岸花はやっぱりちょっと特別という感じがしますが、同じように感じる写真愛好家は多いんじゃないでしょうか。

つぼみが可愛い。

 赤いから? 群生するから? なんとなく不吉な名前だから? 形状が特殊だから? などなど、あれこれ理由はあるのでしょうが、私の場合は形状の面白さに惹かれます。写真的には「そもそも真ん中のモサモサとぴょんぴょん飛び出してるのと、どっちにピントを合わせたら良いんだよ」というところから問題です。

 写真表現は自由ですから、べつに好きな方に合わせたよろしい、というのがいち写真愛好家としての回答で、写真講師としての回答としては「場合による」ですね。ほんと場合によるので自分で考えながら撮るしかありません。まあ私の場合、よほどシベの方をフィーチャーしたい場合でない限り、真ん中のもさのさ、花びらの方に合わせてしまいます。

 また彼岸花に限らずなのですが、茎のある花を撮ると、重力と釣り合い、風にそよぎ、と外力の影響を受けて移ろう様子がまた良いんですね。黒澤映画じゃないですが、その日、その時にその場に咲いていた必然みたいなものが捉えられると良いなあ、という風に思います。

 それは花に限らず人間の写真についても同じで、芝居なんかを見ていても、よく出来たものほど「そんな奴は現実にはいないだろ」と突っ込まずに済みます。それがどれだけ荒唐無稽な絵空事であっても真実味は生み出せるんでしょうね、きっと。

 そんなことを考えながら花を撮りながら歩くのが楽しいんです。

 人生に飽きて何をして良いか分からなくなった人は、ぜひ写真を撮りましょう。 

 真面目に撮れば撮るほど、当たり前のこととして享受している自分の身の回りのことが、もう一度特別に思えてくること請け合いです。

 それではまた。

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