ダンスパーティーFlamingo : AFE取材記


 アメリカ文化に傾倒している人を取材して回るAmerica in Far East、今回は50’s好きの皆さんが集まるダンスイベント、Flamingoへお邪魔してきた。愛知県名古屋市の今池にあるモダンラバーズというところで不定期に開催されているらしく、運良く2023年の4月29日にタイミングが合った。

 このモダンラバーズ、ビルへの入り口は開け放たれているのだが、2階から3階へのドアが閉じられており、まるで禁酒法時代の闇酒場に来たような秘密めいた趣があったのだが、中に入ってみると落ち着いた雰囲気のバーにダンスできるスペースの付いた空間だった。ネオンの光が良いアクセントである。

 Flamingoの主旨は明快で、ジャイブやスイングの曲を掛け、踊るというシンプルなもの。主催のJIVE clubブルさんはじめ、Bunny’s Pinup Partyでお見かけした面々が集まっており非常に和やかだった。

 Flamingoへはひたすら踊る人々を撮る目的でお邪魔したのでジャイブの曲、スイングの曲というのが正直なところまだ分かっていなかったのだがアップテンポで気持ち良い、踊りやすい曲をDJお三方が選曲されていた。音楽について「踊りやすいかどうか」というのはメタル出身なので考えたことがなかった。新鮮な体験である。

 もともと日本を含む東アジア圏の音楽は耳で聞いて楽しむためのものという印象が強く、欧米の音楽は踊るためのものというのは演奏する側としても感じるところだったが、実際に踊る人たちに混じってみると「なるほどこれは踊れる」と思う。

 よく言われるリズムのアクセントが1,3拍に置かれるか2,4拍に置かれるかに加え、踊るための音楽は2,4拍のスネアが遅めにとってある印象だ。東アジア圏は歌と歌詞を非常に気にするので、そこに向けた合理化の結果として1,3拍にアクセントを置いている気がする。かわりに盆踊りが気持ちよく踊れるビートである。

 YouTubeで「jive songs」と検索すると80’s jive songsというようなダンスのジャンルとしてのジャイブを踊るのに良い曲、というニュアンスらしきプレイリストがいくつか存在しており、そういえばダンスのジャンルとしてのジャイブというのは聞いたことがあるが、ダンスのための音楽ジャンルとしてのジャイブというのは耳にしたことがない。サルサのように音楽ジャンルとダンスジャンルが合致しているものもあるが、全体としてはあまり多くない印象だ。

 取材の主旨からすれば、なぜロカビリーでジャイブが踊られるようになったのか? というのも押さえておかなければならないところだろう。参考文献があるかどうかすらよく分からない。

ダンス!

 踊る皆さんはとにかく楽しそうである。見ているとやはりけっこうな運動量で、私の一週間分の運動量を30分のダンスで軽く凌駕されている感じだ。

 撮っていると「ここがポイントかもしれない」というのがチラチラ分かってくる気がするが、それがすんなり撮れるかというとまた別の問題である。スチル写真は動画と違って一つのモーションを流れで説明するのには向いていない。連射して並べることもあるが、現在そうする合理性はゴルフのスイングのように軌道を描くもの以外についてはあまりない。だからこちらが任意で瞬間を切り出していく必要がある。

 撮影的には遠慮なくストロボを使わせていただくことにして、あとはひたすらスローシンクロである。

 スローシンクロした際の、動く被写体の周りに出来る定常光のフリンジが良い。ここでモーションの説明を少ししたい、という意図もある。

 ダンスする人たちを撮るのは、難易度が高いが全てをあえて仔細に見ず、動きの流れで捉えながら瞬間を捉えていくのでこちらもスポーツ的なところがある。被写体のどこかだけを中止していると構図にならないが、同時に細かい動きも見えていないと良い瞬間を取り逃すという二律背反そのものである。

 まだジャイブが写真で伝わるほど理解出来ていないので、また機会を頂いて撮影にお邪魔したい。快く撮影を受け入れてくださったFlamingo関係者各位と、参加者の皆さんに謝意を表してこの記事を締めくることにしよう。


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