RAW現像のお供

 ハッ! せっかく隣の駅まで買い出しに行ったのに、三体の第2部を書店で買うのを忘れた! という午後を過ごしています。昨日から気圧が大きく変動しておりますね。

 わたくし写真の仕事で生計を立てながら趣味はRAW現像でありまして、RAW現像をしている際は何かしら映像作品を流すのが好きです。

 古くはCSIの本家、ラスベガス版が好きだったなあ。
 もともとリーサル・ウェポンに始まってアメリカの刑事ものが好きだったので、そのあたりのドラマはスッと観ることができます。

 ただRAW現像ってそうそう目を離せないので、できれば吹き替えが嬉しいんですね。そうなってくると、現在NetflixとAmazon Primeを契約しているのですが、選択肢がちょっと狭いんであります。

Netflix

 Netflixはひとことで表すと「高そうなコンテンツがけっこうあるんだけど面白いのはHBO残酷もの」という印象。

 HBOっていうと、バカな人とかダメな人たちが出てきて、足を引っ張りあってとにかくどんどん状況が悪化していき、予算が出る限り脚本をずるずる引っ張るんだけど最終シーズン途中までは面白くて見ちゃう、という感じ。

 Amazon PrimeにもHBO作品は入っていますが、Amazon Primeは日本のどうしようもないテレビドラマ群およびテレビレベルに毛が生えた映画が沢山ありまして、それと比べるとNetflixは日本のコンテンツが少ない印象。

 スタートレックが一通り揃っているのがトレッキーとしては素晴らしいんですが、全部見たことがあるので有料で観てどうするんだという気持ちになります。

 Netflixで一番面白かったのはストレンジャー・シングスでしょうか。RAW現像しながらなので吹替版にしてみたところ吹き替えが酷かった……。

 内容的には、ETやグーニーズを観て育ったおじさんにはドンズバに作ってあって音楽からストーリーからぐいぐいきます。キャストにウィノナ・ライダーが入っているのも泣ける。可愛かったんだよ万引で捕まるまでのウィノナ・ライダー……。

 あとはオルタード・カーボン、グッドコップが面白かったかなあ。

 日本映画もちょっとは入っておりまして、どこ系の映画だから、というのは興味がないので調べておりませんが、京極夏彦原作の『姑獲鳥の夏』が入っていたり、『仁義なき戦い』が入っていたりと、パラパラっとあるんですね。

Amazon Prime

 アマプラに関しては、しょうもない安コンテンツを寄せ集めたんだけど、なぜか初期からアマプラにある『True Detective(トゥルー・ディテクティブ)』の第1、第3シーズンは素晴らしいので未見の方に是非観ていただきたい。特に第1シーズンは刑事ものドラマの歴史の中でも金字塔と言われている出来で最高。HBO制作です。

 これ映画のクオリティーが8話続くんですよ。脚本も映像も音楽も、もちろん演出も演技も最高。
 IMDBで見たらArri Alexa SXTで撮影なんですって……と思ったらデジタルで録っているのはシーズン2と3で、シーズン1は35mmフィルムのようですね。35mmであれだけの映像が作れるんだなあ……。

 それ以外についてはまあバラバラ~っと買い集めてきたようなドラマが沢山ありまして、刑事モノでいうとBBCのドラマが沢山あるんですが、字幕ばかりの上に地味な作品ばかり。

 あ、『BOSCH(ボッシュ)』というハリウッドの刑事モノドラマも素晴らしいですよ。こちらは役者陣が素晴らしい演技を見せてくれる以外はたいへん地味な実録っぽい雰囲気にしてあるんですが良いドラマです。吹き替えも本部長が素っ頓狂ボイスでちょっと浮いてるのにちょっと違和感があるけど、慣れちゃったらそこも含め好きだなあ。

 法廷モノのドラマも嫌いではありませんで、オリジナルの『BULL(ブル)』というドラマもけっこう面白いんですが、吹き替えをやっている人の「こほぉ」という息をしゃべくりに混ぜ込む演技が気になって仕方がありません。あと白人傲慢野郎を絵に描いたようなストーリーになっているのもまあ、ストーリー上わざとなんですがアレだなという。

 アマプラはNetflixと比べるとダメな点がいくつもありまして、いちおう有料で観ているはずなのに動画を再生する前にCMを挟んできたりするんですね。

 あと国産ドラマでジャニーズ事務所をやめた人間が出ていた回だけ飛ばしたりしているようです。それはドラマ自体が面白くないので開始5分で再生をやめてしまい、私としては実害がないのですが、続けて観ていた皆さんはダメージが大きかったようです。

国産ドラマ・映画

 アマプラで面白いのは、日本製のコンテンツもけっこう入っているもので、たとえば映画『八つ墓村』あたりの映画が観られたり、最近の映画やWOWOWドラマもちょいちょい入っています。

 それらを観ていて思うのは、日本の映像業界大丈夫かしらってことですね。

 低予算が! と当事者は必ず言うんですが、低予算だの時間がないだの言っていたら仁義なき戦いはできないはずなんですよね。

 恐らく人材の質なんだろうなと思うんですが、日本語がおかしいところからスタートして、良い役者のはずなのに恥ずかしくて観ていられない学芸会ノリのものが多く、こりゃどうも演出する人材が不足しているんだなと思う次第です。

 日本はもともとリーダーシップに欠けるところがあるといいますか戦後は牙を抜く方向で教育をしてきたせいか、強力なリーダーが明確なビジョンをもとに現場を仕切って「よくわからないんだけど面白いもんを作る!」という気迫がないように見えます。客の方ではなくお金を出している人の顔色を伺っている監督が多いんでしょうね。

 製作委員会方式みたいに、色んな企業がお金を出すからクチも出してみんなでつまらなくするシステムもマイナスにマイナスに働いているようですし、ここはもうインディペンデントな人がデジタルを使って面白いことをやるしかないんでは、と思います。

 写真を撮っていても、ぬるーんと安全で平和で、恐らく世界で最高に豊かで安全な国だと思うのですが、法も「良識」も全力でキレた表現を阻みますから、マッドマックスみたいな映画は出来ないでしょう。
 やれる面子が揃えられないんではないか、それは世代的に優しい子ばかりというのに加えて、どうせ儲からなくて面白くないんだから、と優秀な子たちが来てくれない業界になってしまったというのもあります。

 Netflixを観ている限りはそんなことは別に考えないで単なる視聴者をやっていられるんですが、アマプラを見ていると「やばいなこれは」という気持ちになる、そういう意味では啓発的なのはアマプラの方なのかもしれません。

 あなかしこ、あなかしこ……。

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