旅情が撮りたい


 こんにちは。

 何ヶ月か前からPatreonというのをやっておりまして、どういうサービスかというと有料会員のパトロンの皆さんに、わたくしが写真を届けるというもの。

 現在は普段からうろうろしてはガリガリをよく撮るので、そのガリガリを見てもらうガリガリコースと、女性の美を撮るぜオラオラというコースの2つがあります。

 女性美を見てもらう方のコースは、これまでひたすら女性のモデルさんに毎月お願いして写真を撮っては流しておったのですが、これを少々変更して、「基本的に女性のモデルさんにお願いして撮るんだけど、たまには予算を使って何か別のものを撮って流すのもアリにしますよ」という形にさせてもらいました。

 ちょうど来月分のモデルさんが決まっていないので、じゃあどこかへ軽く旅に出て撮ろうかしら、と思っております。

今日は旅情を感じる写真ってなんだろうがテーマで小樽へ行った時の写真。

旅撮り

 旅撮りって目的地の設定が一番アレですよね。

 観光が目的であれば、「これが見たい!」というので目的地を設定してしまうのが一番良い形だと思うのですが、私の場合、たとえば平等院鳳凰堂がどうしても撮りたい、というように目的で設定するのが難しいんであります。風景写真でも観光写真でもないので、ここ! という設定が出来ません。というかやったことがありません。

 おそらく風景写真に取り組んでおられる皆さんの場合、「ダイヤモンド富士が撮りたい」であったり「なんとか桜が満開のタイミングで夜明けに」みたいに、細かいところまで決めて撮影の計画が出来ると思うのですが、スナップの場合はほとんどが町そのものを撮ることを目的にしておりまして、まあ古い建物がたくさんあるところが良いよね、というようなアバウトな設定しか出来ないんであります。これはスナップが完全に趣味であり、作品として「こういうのを」と撮っていたわけではないのが原因。

 つまり、どこかに行ったついでにパチパチ撮るような隙間スナップを、目的もなくどこかへ出かけて撮りまくるという、ある種矛盾した行動をしていたわけで、そりゃスナップ写真を後から写真集なりの形にまとめようったってまとまらないわ、という感じがします。気づくのが遅い。逆にいえば目的もなしに撮れちゃうんだから恐ろしいですよね。わざわざどこかへ訪れて素振りをしているわけです。だからこそ無責任で楽しいんです。

 近所の写真仲間たちと「今度どっか行こうぜ」と出かけようとして、じゃあ何か撮って面白いものがありそうなところを探そうという話になるのですが、えっそもそも俺たち何を撮ると楽しいの……? という感じになるんですね。最大公約数的に「じゃあ廃村に行くと面白いんじゃないのか?」ということになりまして、今年の頭はよく秩父の廃村へ行っておりました。

旅情を感じる気がする小樽の運河

目的?

 廃村へ行っていたのは、もともとガリガリを撮るのが大好きというのと、写真作品として廃村のガリガリを撮ってプリントしたらカッコ良いんじゃねえの、という思惑があったからなのですが、廃村の写真って廃村のテクスチャや無茶な形に崩れた「構造を逸した」構造の写真が撮れて面白い、という私の思惑とは別に、廃村の歴史ロマンであるとか、オカルティックな興味から見られることが多く、なるほどそういう観点から廃村の写真を見るのであれば、書斎に飾って豊かな気持ちで眺める気にはならないかもしんない、と思うようになりました。

 これは表現として突き抜けるまでアホほど撮ればまた話は違ってくると思うので、別に金輪際廃村写真を一切撮らない、ということではないんですけどね。どのみち撮るのは好きなのでまたどこか訪れると思います。

 が、Patreonで普段女性美の写真を楽しんでくれている会員の皆さんに、「さあ廃村の写真をどうぞ」っていうのもなんだか違うのかなあ……いや意外と喜んでくれるのかなあ……などと考えつつ、可能であれば旅情を感じるようなロケ地を選定したいところ。旅情ってなんだろう、も旅写真のテーマですね。

小樽駅前。地元の方は感じないであろう旅情を感じる気がするなあ

旅情ってなんだろう

 旅情ってどうすれば写るんでしょうね。下手をすると旅をする過程でパチパチ撮った写真に写り込んでいるのに、撮った当人が気づかずセレクトから漏れてしまっている可能性すらあると思います。

 被写体は一体どういうものが旅情をかきたてるんでしょうか。現地の自治体の皆さんが観光案内で出しているような「さあ見ていって」というところを撮れば旅情が出る、というわけでもないような感じがしますし、実に難しい。むしろ自治体のみなさんが見せたいものって、大体が本当に「見せたいもの」でしかなく、よそもの視点では悪いんだけど別にアレだわ、みたいなものが多いんであります。ああいうのは勝手に有名になっちゃうのが理想なんでしょうね。それはそれで哲学の木みたいに弊害もあると思うので痛し痒しではあると思うのですが。

 Patreonの場合、少なくとも2週分つまり2つのテーマでまとめられるようにしないといけませんから、現在考えているのは「旅スナップらしい旅スナップ」と、「旅の中からスコッと切り出したもの」という形。ちょうど先日アップした、Z6に標準ズームを付けて説明的な写真を撮ったものと、Z7に135mmで切り出したものみたいな対比で見せていくのが面白いかなと思っています。

 旅情を感じる写真の条件、ロケ地や撮る時間帯や機材や現像、すべてひっくるめて要素を考えてみると面白いでしょうね。また見る人が感じてこその旅情という面もありますから、自分が他人の撮ったどういう写真を見て旅情が掻き立てられるか、というのも大事です。

 きっと旅の中にあって「俺、いま旅してるなあ……」と感じることと、それをそのまま写真に閉じ込めることの両方が大事。というのは分かるんだけど、なかなかどうして、思うようにはいきません。

 あなかしこ、あなかしこ……


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