先日、ニコンZ用の純正最新マイクロレンズであるところのNikkor Z MC 105mm f/2.8 VR Sをお友達からお借りしてYouTubeでレビュー動画的な雑感しゃべくりをしたところなのですが、それに先駆けてFマウントバージョンの方の105mmマイクロレンズを使っているよ、というカメラネタです。
Fマウントの105マイクロ最終型であるところのAF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED、VRが後に来たり前に来たりややこしいですが、何はともあれ中望遠で近くのものに思い切り寄って撮れるレンズでありまして、仕事でもなんだかんだで中望遠マクロは使う機会があるので所持しております。
Zマウントの最新版の方は、よりパキパキ度が強く明快に「写りまっせ!」という感じ(とはいえニコンなので控えめ)なのですが、Fマウントの方はパッと見た感じではパキパキでもジャリジャリでもなく、ぬるり、ときれいに写ります。印象が「あらきれい」で、カメラオタクというかレンズオタクのエゴを粉砕してくれる面白みがあります。
つまり現実を忠実に再現してくれる度合いが強く、レンズ側で誇張するのを良しとしない、ニコンの職人気質がモロに出ているレンズですし、私もそのあたり仕事で静物撮りをする際にレンズにオラオラ主張されてもアレですし、マクロレンズを持ち出すのに絞らない機会がまずないので、このレンズがちょうど良いなと感じています。
もちろん、自己主張強めのレンズだとしても、そういうものとして撮って納品すれば、ほとんどのデザイナーやクライアントは「なるほどそういうものか」と思うでしょうし、パキパキ系の写りの方が好き、という人も確実にいますから、要は相性ですね。
私も仕事でパキパキ度を優先してほしいと言われたら遠慮なくアポランか何かを導入します。そこは作家ではないカメラマン仕事なので柔軟です。はい。
というわけで、現実を忠実に再現してくれるFマウント105マイクロの写真でした。「あるものはある、ないものはない」という写りだなといつも思います。
逆にいうと、ニコンを使うということは基本的に誇張がないところで写真を撮る技能を鍛えるみたいな部分もあり、一枚の写真のうち、どこが機材部分でどこが撮る側の技術で、という成分の切り分けを自分にとって明確にしてくれた点でありがたいなと思っています。
たとえばツァイスを使っていると、無意識のうちに「ツァイスの写りを見てくれえええ!!!」と写りをゴリゴリ押し付ける撮り方、セレクトになっちゃうんですよね。無意識だからたちが悪いんです。別途運営しているZEISS Senpaiというブログの写真は、レンズを見せるための作例写真ということもあるのですが思い切りレンズを見せるための写真ばかりで、作品と捉えるのがなかなか難しいですわ。それが一概に悪いとは思わないのですが、一生作例写真だけ撮っているわけにもいきません。
ニコンの場合、誇張してくれないので自分でなんとかする必要があり、それは被写体選びから現像、セレクトに至るまですべての局面で常につきつけられる命題みたいなもので、非常に勉強になります。写真は撮る側だけのものじゃないもんなあ、というのを改めて強く感じます。
それではまた。