Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8

 オリンパスの出しているM.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、フルサイズ用レンズでいうところの明るい135mmに相当する。端的にまとめれば小型軽量で良い仕事をするレンズである。

 135mmを2で割った67.5mmで出してこないのは、同じく単焦点の45mm F1.2 PROが42.5mmでないのと共通しているのだろうか。MFTは望遠にしてもあまり望遠らしくないので焦点距離を延長して望遠らしさを追加しているのだろうか、それともアスペクト比が4対3だからその関係なのだろうか、と思いつつ、実際に使うと換算135mmも150mmも大差ないので気にならない。

 75mm F1.8で何より特筆すべきはその描写である。
 長めの焦点距離も相まって被写体を明確に捉え、背景と分離して端正に描き出すのだが、レンズの外観は控えめで、Sigma135mm F1.8 Artのように「どうだこの野郎」という威圧感がない。さり気なく高品質に、しかし写りの面でも過剰な演出をしない仕事人レンズなのだ。結果としてレンズの写りよりも被写体がよく見える。

 使えば使うほど欠点らしい欠点がなく、よほどの強コントラストでもない限りフリンジはほぼ出ないし、マクロレンズほどは寄れないが画角の割にけっこう寄れる。焦点距離の長いレンズはその割に寄れないものが多く、「ウッ」と詰まって中距離よりも近いものに向けるのが憚られ、扱い辛く感じるようになるものだが、それをギリギリのところで回避している。

 このレンズを使ってみて、オリンパスのレンズ作りとその思想に感じ入るとともに、であれば25mm F1.2 PROには一体どういう思想が込められているのか、どうMFTセンサーと上手く和解するように作られているのか気になるようになった。あれを使えばオリンパスがレンズに対して何を考えているのか分かるに違いない。

 Olympus M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8は、近場をうろうろする際は花や猫、旅先でも特定のものを抽象的に切り抜くのに適した画角、写り味を備えている。オリンパス機主体で撮る際は外せない一本になった。

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