名古屋港でOMDS M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROを使う


 去る2022年12月3日、私は名古屋港にいた。

 もともと愛知県民である私にとって名古屋港は度々訪れたことのある場所である。今回は運営しているオンラインサロンの有志たちと集まって……というより、好きなタイミングで同じ場所を撮る修行合宿と名付けた催しを、ささやかな忘年会の前にくっつけたものである。

 修行合宿は集合場所など決めず、私が何月何日の何時頃にどこそこにいる、と場所を示し、集まれる人間が勝手に集まって勝手に撮って解散するもので、最終的にお互いが同じ場所でどういう写真を撮ったか見合うのが目的なので現場で会うかどうかは優先順位が高くない。そんな好き勝手な催しではあるものの今回は極端で、忘年会の会場に行くまで、名古屋港エリアに数人は集まっていた筈なのに一人にしか会わなかった。

 あとから確認してみたところニアミスもしていたようだが、わざわざ会おうとしない限り人間はなかなか出会わないものなのかもしれない、と思わされる。

 集合、解散が思い思いなだけに撮影内容についても縛りなどなく、好きなものを各自のテーマで撮るのがならわしであり、どんな機材を使うかも各自の自由である。私はOMDS(旧オリンパス)ブームの真っ只中にあったので、買ったばかりのM.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROを持ち込んであれこれ撮っていた。

 M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PROは135判に換算して40mm相当である。

 余分なものが入り込むような入り込まないような絶妙な画角で、意識としての視野を少しだけ削った感覚である。だから意識がはっきりして何かをきちんと捉えている時の視界に近い感じがする。

 また画角なりの前後の表現についても、35mmより広角らしさが削られており、えぐみが少ないのも好感が持てるところである。人物撮りで使っても、よほど極端なカメラ位置にしない限り頭でっかちになったりしにくい。

 南極観測船ふじの見学の際は大きな船とはいえ狭い船内でも十分に使い切れる画角だった。人間の目で「暗いな」と思わない程度に光があれば、開放F1.4の明るさとボディー側の手ぶれ補正で難なく乗り切れてしまうのも良いところだ。旅レンズとしても素晴らしい。

 また南極観測船ふじを出て、海洋博物館や水族館へ行った際も、自分目線で体験を切り取っていく上で20mmの画角が非常に良かった。

 注視もできれば俯瞰も出来る、といったところだろうか。

 画角に加え、このレンズの清冽な写り味も私の感性に合っており、使っていると時間を忘れるレンズだった。同じOMDSのPROシリーズ単焦点である25mm F1.2や17mm F1.2は「買ったところでそんなに使うかなあ」と及び腰だったのだが、20mm F1.4についてはためらいなく購入してしまった。新品でも10万円を超えない価格設定もぐっと来やすい要因かもしれない。


コメントを残す