Look back with expectation.


 歌の文句でたまに聞くフレーズに「Don’t look back.」というものがある。人生訓としては、過去を改変など出来ないから振り返ってもしょうがないという意味で私も同意する。しかしこと写真においては大いに後ろを振り返るべきである。

 元来人間の視野は意外に狭い。
 それが写真を撮っていると、とくにスナップばかりしていると周辺視野は広がるが、それでも肉体の限界を越えることはできない。人間の目は草食動物と違って前しか見ることができないのだ。

 進んで戻ってで立つ位置が変わるのも視界の違いに大きく影響する。数歩進むだけで見える景色はガラッと変わってしまう。これはレンズの画角との関わりも大きく、見落とされがちであるが「写真はカメラをどこに置くか」が何より大事というのを思い出させてくれる。

 だから進みながら見ている景色と、戻りながら見る景色が違うのは当然のことだ。北から南に抜けた路地が、南から北へ抜けた時と同じ見た目になることはまずない。

 また自分の過去の写真を振り返ってみるのも大いに勉強になる。私自身写真を撮り始めてから20年近く経過したが、毎日発見があるし、1年も前の写真を見ると「ちょっと下手だったなあ」と思う。現在の自分の位置は過去を振り返ることでしか確認できないのだ。

2022年撮影なので気づいたらもう1年前。

 だから写真を撮っている時は、期待を込めつつ大いに振り返るべきである。


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