ウエスタン祭・WILD HONKEY TONK・AFE取材記


 ある日、Twitterで「ウエスタン」と検索していると、WILD HONKEY TONKという名前のウエスタンなイベント企画があるという情報を得た。早速主催のゲイリー斎藤さんに連絡を取り、取材申し込みをすると、二つ返事でOKだった。話が早い男はきっと仕事も早い。

 筆者は2022年11月まで関東に住んでいたが2023年現在は愛知県在住。関東で撮影仕事やワークショップや取材を短期間に集中させることにして、WILD HONKEY TONK(以下WHT)に向かった。
 新東名が出来て以来、愛知~東京間の移動はストレスが格段に減ったし、2型FITから乗り換えたN-VANはクルーズコントロールをオンにしている間は足が自由な状態である。これがまた楽なのだ。

 アメリカ文化に強く影響を受けている日本人を撮って回る企画のAmerica in Far East、人のロマンを探っていくのが主旨でありながら筆者自身はほとんどロマンを解さない朴念仁で運転にもロマンを求めない。さしたる苦労もなく千葉入りし、一旦ホテルに泊まって翌朝WHT会場入りである。

 会場はキャンプ・デブグルという千葉市のはずれにあるサバゲーフィールドだ。サバゲーというものをご存知ない方に説明すると、元は和製英語でサバイバルゲームといってBB弾を使うエアガンで実際の戦闘を模して闘う遊戯である。

 サバゲーはこの数十年根強い人気を誇っており、サバゲーをやるために森林や市街地のように設えられた場所を用意する人までいる。エアガンも男子ならおなじみの東京マルイを始め、ファンたちに力強く支えられている。America in Far Eastとは直接関係ないが、これはこれで一つのカルチャーだ。

 今回WHTはこのサバゲー趣味の人が多く集まっており、AFE取材をしている筆者の感覚としてはアメリカ文化にどこから関わるか、どこが軸になるかが人それぞれバラバラで面白いものだと感心した。

 主催のゲイリー斉藤さんには、イベント当日ということもあり、挨拶くらいしか出来ていないのであるが、スタッフとして参加されていたご家族にお話を伺ってみるとお母様が西部劇映画からウエスタンに興味を持たれ、そこから次世代のゲイリーさんに影響が受け継がれたという。

ゲイリーさん近影。すらっと長身の良い男である。

 ゲイリーさんはまるで伝統芸能のようにウエスタンを受け継ぎ、それを(恐らく)御本人の趣味であるサバゲーと結びつけて橋渡しをしているような存在なのだ。その点も非常に興味深い。

シングルアクション

 会場内では皆さん衣装に凝りに凝っていたのも見ものであった。参加者と取材陣が視界の端に入っただけで峻別できるレベルである。

 そういえばサバゲーは装備品に凝るのも特徴である。あれはコスプレ文化に近いところがあるのだろう。私と同じように取材目的で来場されていたhasehaseさんもサバゲーが趣味で、海兵隊の特殊部隊の装備でガチガチに固めているのだという。hasehaseさんの書かれたWHTレポはこちら。サバゲー愛好家視点だとこうなるのか! と新鮮である。

 WHT会場内はテンガロンハットが標準装備であり、そこら中でワイアット・アープのような紳士たちが腰にシングルアクションの銃を提げていた。時代的にダブルアクションやオートマチックの銃は存在しないのである。下手をするとホルスターは自作されていたりするようで、互いの装備品への興味が尽きない。これは私のようにカメラおじさんが集まるとひたすらカメラやレンズの話をしているのと一緒である。

互いの装備に興味津々

 また東中野にあるDead Gunman’s Society 14という酒場の繋がりからウエスタン界隈には珍しい若者が数名参加されており、彼らの装備品を拝見すると独自の改造が加えられていたりする。これも日本でのウエスタンならではの魔改造ポイントとして興味深かった。

 史実を追うのか現代での面白みを追うのかは好事家の間でも意見が分かれそうである。

場内を警邏するメキシコ軍人も。

ファストドロウ

 ウエスタンでガンマンといえば早撃ちのイメージは日本でも老若男女が持っているものではないだろうか。

 実際の現代日本では銃器の所持も使用も一般には禁じられており、決闘も犯罪であるが、WHTでは早撃ちのタイムを競うファストドロウも体験会が催されていた。

 実は日本のウエスタン界隈では、このファストドロウがサバゲーとはまた別に愛好されており、Googleで検索すると意外なほど大量にヒットするのである。大会も開かれている。私自身ファストドロウについてはガンアクションに長けた俳優のCOBRAさんという方から聞いて存在は知っていたのだが、見るのは初めてだった。

 ルールは簡単、目の前の電球が点いた瞬間に銃を抜き、撃鉄を引き、風船めがけて引き金を引き、銃弾ではなく火薬の威力で風船を割るのである。

 ファストドロウマシンは電球が点灯するまでの時間をランダム設定しており、風船が割れると上部から風船に接触していたセンサーがランプ点灯から風船が割れるまでの時間を表示してくれる。この時間の短さを競うものだ。

 アメリカでもファストドロウは根強く人気があるらしく、YouTubeで検索すると世界大会が開催されているという。

 なんだか日本人ガンマンを見慣れてしまったおかげか、本家のファストドロウ動画に出てくる人たちに違和感を覚える。動画内では風船を割るのではなく、火薬を減らした弱装弾を使っているのだろうか。いつか取材に行ってみたいものだが、下手をすると町に私ひとり有色人種で死ぬほど浮きそうな気もする。是非ネイティブアメリカンの通訳を伴って現地入りしたい。

バンドも

 WHTではバンド演奏もあった。複数バンドが出演し、演奏されていたのはローハイドのテーマからIt’s so easyまで幅広く、中でもペダルスティール演奏されていた方が素晴らしかった。エレキギターが全てテレキャスターかグレッチというのも良い意味での強い偏りが見られて強い好感を持った。皆さんそれぞれの形でアメリカ文化を愛しておられるのである。

ガンマンたちも聴き入る。
個人的ベストミュージシャン賞はこの方。聴き惚れました。

 

そしてカントリー・ミュージックといえばダンス。

 そんなこんなで、少し肌寒い千葉のサバゲーフィールドでのイベントだったが、皆さんの熱意がひしひしと伝わってくる素晴らしい催しだった。

 急な取材申し込みにも関わらず暖かく迎えてくださった主催のゲイリー斎藤さん、スタッフ各位、そして参加者の皆様に厚く御礼を申し上げて締めくくりたい。

 掲載分以外にも素敵なシーンがたくさんあったので下記に供覧に付す。参加者、出展者の方にはさらにこれ以外の写真もシェア出来るのでinstagram@americainfareastまで連絡されたし。

ギャラリー


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