たぶん「正解」の優等生レンズ|XF35mmF2 R WR

 友人から借りたXF35mm F2 R WRが、改めて使ってみると思いの外良かった。

 ソニーでいうところのSEL35F18F(F付きの方のフルサイズ対応35mm F1.8)と似たようなポジションで、よく写る優等生的なレンズである。

 良くも悪くも特徴があまりないので見過ごされがちであるが、トリッキーさを求めないのであれば、またX-M5のように小型のボディーであればこのレンズが「正解」ということになるような気がする良く出来たレンズである。

 逆にいえば取り立てて「ここが凄いよ!」と紹介しにくいレンズでもあるのだが、今回X-M5と一緒に使ってみて感心したのは、近接よりも遠景の写りだった。他の社外レンズ含めた数本と比べて、明らかに遠景でもなんだか感じが良い。

嫌味なくきれいに解像する。ビキビキではないが十分。
遠景。手前がちゃんと手前、奥がちゃんと奥。
ネコチャン。
最短付近。後ろは少しごわつく。
やはり遠景の不思議な立体感
model : 伊吹りん
AFはそこそこ速くボディー側に大きく影響される印象

 フジのレンズはこの「感じの良さ」が、他社のレンズと比べると優れている気がして面白い。以前使ったときはもっと解像を求めていたので、なんだか鋭さのない、もたもたしたつまらないレンズだと思っていたが、実はきちんと解像しているし、ベタッと遠景を撮った際にも、ただ平面にしただけでなく立体感が残るのだ。これは純正を使う価値を感じる。どうもフジは他社と同じ基準で評価が出来ないメーカーであるらしい、というのが今更分かってきた。

 最終的に、この写りを手に入れたいのであれば、私個人としては絞りリングが(少なくともX-M5で使う上では)不要なので、レンズ構成が同じだというXCの方の35mm F2を使ったほうが幸せになれるかもしれない。見た目はこちらのXFのほうがマッチしてカッコいいのであるが、XCのほうが少々(約40g)軽いらしい。XFのほうも別に重いというほど重くはないが、徹底的に軽くするのも楽しそうだ。

おそらくX-T系やX-H系であれば多用するであろう絞りリング、X-M5では無用だった。かっこよくはある。

このXF35mm F2 R WR、中庸の徳を体現したようなレンズだが、だからこそレンズの写りでなく被写体側に鑑賞の意識が向きやすいと捉えると、あえての機能限定を楽しむX-M5にぴったりという感じがする。そういう意味で「たぶん正解」のレンズである。

 最後に以前撮ったX-E3やX-H1での作例を掲載しておこう。