バイクに乗り、ギターを弾き、一眼レフを楽しんでいる。これらに共通するのは振動である。
バイクのエンジンによる振動が健康に良いのでは、と冗談を言いながら購入したXSR155だったが、単気筒であることもあって実際ドコドコと振動があって楽しい。振動の大きさと楽しさが比例するということもないのだが、そういえばこれまで所有したバイクのうち四気筒のバイクはホーネット600のみで、それ以外は単気筒かせいぜい二気筒である。
ギターも結果として出てくる音が弾性波なのは間違いないが、ギターを弾いている人間には弦やボディーの振動が直接感じられ、それも演奏体験の一つとして重要なのである。
左手で弦を押さえて右手で弾くと、それぞれに反作用で振動のお釣りが来るのである。それが気持ち良くて目的もなく演奏する部分がある。本当はアンプで大きな音を出していると、さらにスピーカーからのフィードバックがあって気持ちが良い。それも振動である。大きな音になると耳だけでなく、スピーカーが床も揺らすので体で振動を感じる。
そしてカメラ。最近一眼レフD800を久々に使ってみたら、どう考えてもメカが無駄に大きな振動をするおかげでシャッターブレしており、どうやら1/125秒あたりを中心に何をどうしても像がぼんやりするのだが、その振動が脳にとっては気持ち良いらしいのである。
シャープに写っているかどうかも画質の重要なファクターだから、振動の気持ち良さのためにシャープさを犠牲にするというのは本末転倒も良いところなのであるが、後継機のD810を手に入れて使ってみたら、シャッター押下時の振動が明らかに改善されており、撮影されるデータも大変鋭いのに、撮っている際の楽しさまでだいぶ低減されてしまっている。
これらのことから、ひょっとすると人間が趣味的にあれこれする際、振動の心地良さが楽しさのファクターとして大きいのかもしれない。





